――韓流コンテンツがグローバルライフスタイルとして定着した。コンテンツが成功する理由と、最大の成果を挙げるとしたら?
チョ院長 BTS(音楽)、パラサイト(映画)、イカゲーム(ドラマ)、バトルグラウンド(ゲーム)、ピンクポン(キャラクター)など、さまざまなジャンルのK-コンテンツと企業が成果を見せている。コンテンツは結局、人の感情に基づいた経験財だ。K-コンテンツはこの時代が必要としている価値やメッセージを伝え、世界の人々の需要に適したものになっていると思う。
歴史を紀元前や紀元後に分けるように、コンテンツ産業も、昨年大きな成果を出した「イカゲーム」の登場前後で分けられるという話が出ている。韓国のコンテンツも世界市場でも十分に通用するという自信を与えた成果が大きい。未知の領域だった市場まで、新たに開拓できるのでないかという考えが業界に広がっている。それに企業が鼓舞されている。
――コンテンツ無限競争時代における振興院の役割とは。
チョ院長 政府が政策、業界が現場を担当するなら、振興院はその中間に位置すると思う。業界のアイデアを新事業のアイテムにし、政府予算を通して活性化する架け橋になるべきだ。民間が試みるには、市場が開かれていない、成功の保障がない、リスクが大きい……。そんな事業になる可能性があるならば、公的機関が技術・人材・インフラを支援して育成する必要がある。
端的に言うと、過去には韓国の「放送フォーマット」というものは、海外でヒットしたフォーマットを安値で買ってくることがすべてだった。だが、振興院がIP事業を重要視して支援事業を展開したところ、「覆面歌王」のような海外でコピーされるようなフォーマットが出現した。今は放送局やコンテンツ企業が互いに、独自フォーマットの開発に拍車をかけており、新しい市場や雇用が生み出されている。
――実際に振興院の架け橋という役割が、市場を開拓した事例はあるのか。
チョ院長 最近公開された「光化門時代」に代表される「イマーシブコンテンツ(immersive contents=没入感を重視したコンテンツ)」が代表的だ。「光化門時代」は初期段階のイマーシブコンテンツ産業に、政府がリードする形で投資した。韓国国内の関連企業は、新しい技術を実験できる場として、一般国民も、新しいコンテンツのジャンルを知り、身に着けながら、さまざまな付加価値を創出している。
新しい企業が負担できないリスクを政府が受け止め、新しい市場を開いた。米ニューヨークで、巨大な滝のデジタルアートによって世界的な企業になったデジタルメディアデザインの「ディストリクト(d’strict)」のような企業がチャンスを得て成長する契機になった。
©MONEYTODAY