K-POPを基盤にした大手エンターテインメント会社が最終的に夢見るのはディズニーだ。ディズニーはこれまでピクサースタジオ、マーブルスタジオ、ルーカスフィルム、21世紀フォックスなどを相次いで買収して規模を拡大。現在、世界最高の文化コンテンツ会社「ディズニー帝国」を作り上げた。ディズニーはキャラクター、物語関連IPが無尽蔵だ。これを通じて文化コンテンツだけでなく、飲食物、ファッション、文具など多様な事業領域に進出している。
◇マーブルを連想させる世界観
SMの場合、マーブルを連想させるSMカルチャーユニバースの世界観を築いてきた。多様な英雄を前面に掲げたディズニーのマーブルスタジオのように、SMエンターテイメントの歌手をつなぐ世界観「SMカルチャーユニバース（SM Culture Universe＝SMCU）」が、SMに所属する各グループをいわゆる「広野（KWANGYA）」という活動空間で、各自が積み上げてきた物語を展開したり互いに交錯させたりしている。
マーブルのアベンジャーズのように、SM所属ボーイズグループメンバーとガールズグループメンバーがそれぞれ集まった「Super M」と「God the Beat」が作られる理由だ。HYBEもネイバーウェブトゥーンと手を握り、グループ「BTS（防弾少年団）」「TOMORROW X TOGETHER（トゥモロー・バイ・トゥギャザー、TXT）」「ENHYPEN（エンハイプン）」「LE SSERAFIM（ルセラフィム）」の世界観を作っており、SMを買収することになれば多様なアイデア創出が可能だ。
◇SM買収、オフラインでも相乗効果
HYBEであれカカオであれ、SM買収はオフラインでも相乗効果を発揮する。HYBEの場合は「都市型コンサートプレイパーク」を掲げて野心的に展開中の「THE CITY」プロジェクトに弾みを付けることができる。コンサート開催都市の随所に多様な楽しみとイベントを用意するため、集客力のあるグループが多いほど、プロジェクトを進めるのに有利だ。
これまでBTSとSEVENTEEN（セブンティーン）が「THE CITY」プロジェクトに参加したが、SM内には日本に進出したK-POPチームの中で唯一、7万席規模の日産スタジアムで公演した東方神起をはじめ、「EXO（エクソ）」や「NCT（エヌシーティー）127」「NCTドリーム」など、「THE CITY」プロジェクトに参加可能な招待客力のあるチームがある。カカオは、現在建設中のK-POP公演場ソウルアリーナのためにもSM所属グループが必要だ。
◇ウェブトゥーンIP
さらに、HYBEとカカオは現在、多様なプラットフォームでも争いが激しくなりそうだ。カカオエンターテインメントのカカオウェブトゥーン・カカオページは、ネイバーウェブトゥーンと競っているが、ネイバーウェブトゥーンはHYBEと協力している。SMまでネイバーウェブトゥーンと協力することになれば、カカオエンターテインメントはK-POP関連ウェブトゥーンIPの確保に困難をきたす恐れがある。
HYBEはグローバルなファンダム業界1位のプラットフォーム「Weverse」を運営中であり、ネイバーのファンプラットフォーム「Vライブ」も譲り受けた。SM子会社ディアユーが運営中のプラットフォーム「バブル」まで手中にすれば、業界を掌握することになる。カカオエンターテインメントは、ITプラットフォーム業界で重要なファンプラットフォーム分野での活動領域を失うことになるわけだ。
◇ゲーム業界…重なるターゲット
また、HYBEはゲーム業界に進出するためエンジンを始動させているが、やはりカカオゲームズと重なる分野だ。現在、特定プラットフォームにどれだけ多くのIPを保有するかで、大衆文化コンテンツとしての成否が分かれるという点で、HYBEとカカオのSM買収合戦は、プラットフォームにIPを確保するための対決でもあるのだ。
HYBEは「自社の力とネットワークを基盤に事業の三本柱であるレーベルとソリューション、プラットフォームのすべての分野でSMエンターテインメントと戦略的相乗効果の創出に乗り出す方針だ。プラットフォームを通じた協力はもちろん、SMエンターテインメント傘下の多様なソリューション事業と、HYBE の既存ソリューション事業との間でも相乗効果を模索していく」と明らかにした。
これに対し、カカオのペ・ジェヒョン副社長は10日、実績発表カンファレンスコールで「カカオとSMは長い間、多様な事業で協力しようと議論を進めてきたし、今回の契約締結で、それぞれの長所であるプラットフォームとIT技術、IPパワーを結合して多様な相乗効果を上げる」と話した。
（つづく）
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