2026 年 6月 10日 (水)
ホーム経済流通「一発屋のコラボ」にはもう頼らない…韓国食品業界が“奇抜な新商品”を捨てて「元祖・原点」に回帰し始めた深いワケ

「一発屋のコラボ」にはもう頼らない…韓国食品業界が“奇抜な新商品”を捨てて「元祖・原点」に回帰し始めた深いワケ

「辛ラーメン」40周年記者懇談会でポーズを取る農心のチョ・ヨンチョル代表(左)と、「三養1963」発売発表会で商品を手にする三養食品のキム・ジョンス会長(c)news1

消費トレンドの移り変わりが急速に激しくなるなか、韓国の食品業界で一時的な流行を追うのではなく、ブランド固有の「原点(ルーツ)」を見直して差別化を図る動きが広がっている。味や形が酷似した類似商品(ミートゥー商品)が市場にあふれるなか、独自のアイデンティティを再評価し、長期的な成長の原動力を確保する狙いとみられる。

こうした「原点回帰」の動きは、ラーメン、ファストフード、酒類など食品全般に波及している。特にラーメン業界では伝統ブランドの価値を高めるマーケティングが活発だ。

農心は、主力商品「辛ラーメン」の発売40周年を迎え、新商品「辛ラーメンロゼ」の投入だけでなく、オフラインでの体験空間の拡大に乗り出した。ソウルの森で開催中の「2026ソウル国際庭園博覧会」に、ラーメンの麺や調理過程を造形物で表現した大規模なテーマ庭園を造成したほか、ソウル・聖水洞にはその場で調理して食べられるポップアップストアも開設する。

海外で「ブルダック炒め麺」が大ヒットしている三養食品は、1989年の不祥事(牛脂事件)以来、36年ぶりにプレミアムラーメン「三養1963」を公開した。韓国初の即席麺に使われていた牛脂による揚げ方式を現代的に再解釈した商品で、世界展開の成功を経てあえて最も古い「元祖」のスープラーメンに回帰した格好だ。同社のキム・ジョンス会長はSNSで同商品を食べる映像を公開し、会社の歴史と未来を語るなど、強い愛着を示している。

ファストフード業界でも基本に立ち返る動きが目立つ。KFCは、自社の「ハンドメイドチキン」という哲学をアピールするため、伝統家屋が並ぶ北村韓屋村にポップアップストアを開設。機械的な冷凍チキンとは異なり、店舗で従業員が直接調理する職人精神を打ち出した。バーガーキングも、過去に販売終了した代表メニュー「ロングチキンバーガー」をファンの要望に応える形で再発売し、新奇性よりも定着した人気メニューの安定感を重視している。

酒類業界では、ロッテ七星飲料が韓国焼酎「チョウムチョロム」の発売20周年を記念し、初期のパッケージデザインを採用した上で、当時と同じアルコール度数20度の「チョウムチョロムクラシック」を限定発売した。

食品業界がこれほど原点探しに注力する背景には、新商品開発の限界や、固有の歴史(ストーリーテリング)による差別化の必要性がある。異業種コラボレーションなどによる話題性の高い新商品は、一時的に注目を集めても流行が過ぎればすぐに忘れられ、企業の長期的な成長には繋がりにくい。

一方で、歴史ある定番ブランドはリスクを最小限に抑えながら安定した実績を支える。消費者がブランドの歴史や哲学に共感するほど顧客忠実度(ロイヤルティー)が高まり、他社が短期間で模倣できない強力な武器になる。消費者側にとっても、失敗の可能性が低い「なじみがありながらも新しい味」を選択できるメリットがある。

(c)news1

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