
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、ソウルを射程圏に収める新型155ミリ自走砲を公開し、2026年中に最前線地域へ配備すると予告した。憲法改正を通じ、南北を「二つの国家」として分ける趣旨の領土条項を新設したことに続き、南北接境地域の軍事力を強化することで、韓国に対する敵対的圧迫の水準を段階的に高めているとの分析が出ている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は8日、キム総書記が6日に重要軍需企業を訪問したと報じた。同紙は、キム総書記が「2026年中に南部国境の長距離砲兵部隊に装備させることになる3個大隊分の新型自走榴弾砲(りゅうだんぽう)の生産実態を点検した」とし、「部隊試験計画に従って実施された新型155ミリ自走榴弾砲の各種走行・地形克服、水中渡河試験、改良砲弾射撃試験結果に関する専門家らの見解を具体的に聴取した」と伝えた。
155ミリ新型自走榴弾砲は、2025年10月の朝鮮労働党創建日軍事パレードで初めて公開された新型地上兵器の一つだ。韓国のK9自走砲との戦力格差を縮めるため、既存の自走砲に比べて射程を延ばし、機動性を高めたものとみられる。
兵器体系を視察したキム総書記は、この自走砲の射程が「すでに60キロを超える」と明らかにした。前方部隊にこの自走砲を配備した場合、軍事境界線を基準に京畿道北部やソウルなどが射程圏に入ることを示唆したものだ。
特に、弾頭が放物線を描いて飛ぶ榴弾砲は山の背後から発射でき、隠蔽・遮蔽性を高め、反撃による被害を減らすために開発されたものだ。北朝鮮は2010年の延坪島砲撃でも122ミリ榴弾砲を使用したことがある。
北朝鮮が新型砲を前方全域に配備する場合、京畿道北部や江原道の山間地帯で、隠蔽性を高める形で配備するものとみられる。
キム総書記は「このような火力打撃範囲の急速な拡大と標的撃破能力の飛躍的な向上は、わが軍隊の地上作戦に大きな変化と有利性をもたらす」とし、「われわれは新しい武装装備が導入されている現実的条件に基づき、力量と機材の利用に関する作戦上の概念を再定義しなければならない」と強調した。今後、新型兵器体系の実戦配備と軍構造改編がさらに加速することを予想させる発言だ。
専門家らは、これまで「対韓国通常戦力」の近代化に集中してきた北朝鮮が、単に老朽装備を交換する水準を超え、韓国の主要都市を狙った「精密打撃」能力の向上を目標にしていると評価している。
この日、労働新聞が「南部国境の長距離砲兵部隊」と「3個大隊分」という具体的な配備位置と規模に言及したことも、韓国に対する具体的かつ細密な挑発水準を高める狙いと解釈される。
特に、こうした動きは最近、北朝鮮が憲法改正で領土条項を新設したことと無関係ではないとの見方がある。北朝鮮は新たに改正された憲法第2条に「朝鮮民主主義人民共和国の領域は、北は中華人民共和国およびロシア連邦、南は大韓民国と接する領土と、それに基づいて設定された領海および領空を含む。朝鮮民主主義人民共和国は領域に対するいかなる侵害も絶対に許さない」と明記した。
北朝鮮憲法に領土条項が設けられたのは今回が初めてで、韓国をもはや「統一を志向する同じ民族」ではなく、完全に「別の国」とみなす恒久的措置を取ったものと解釈された。さらにキム総書記が韓国を「敵対国家」と規定したことがあるため、北朝鮮はこれを根拠に前方地域へ各種新型兵器を配備しているとみられる。
北朝鮮は4月20日、ソウルをはじめ主要な在韓米軍基地を射程圏に置く地対地戦術弾道ミサイル「火星11ラ」型の試射成功を発表した。この時も、前方の第1、2、4、5軍団長がいずれも試射を参観し、「火星11ラ」が前方部隊に集中的に配備されることを示唆した。
これに加え、新型自走砲まで最前線地域に配備すると予告したことについて、憲法改正で定めた自らの「新たな領土」を物理的に守るという強い意志を示したものだとの解釈も出ている。
韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮が従来の『物量攻勢』中心の砲兵イメージから脱し、60キロ以上の射程を持つ155ミリ精密打撃体系を示すことで、ソウルと首都圏の核心施設に対する精密打撃能力を誇示した。この砲兵戦力が実際に前方に配備される場合、首都圏の大半が北朝鮮砲兵の直接的な脅威を受けることになるとみられる」と解説した。
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