2025 年 7月 12日 (土)
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南北関係に久々の「和らぎ」の気配、それでも「先走り」は禁物 [韓国記者コラム]

2024年6月6日、坡州市の接境地域から見た非武装地帯(DMZ)(c)news1

冷え込んでいた南北関係に久々に和らぎの気配が見え始めた。これは新政権が掲げる「朝鮮半島の緊張緩和」政策に、北朝鮮が予想以上に迅速に呼応した結果だ。

イ・ジェミョン(李在明)政権の発足直後、統一省が民間団体に対して対北ビラの散布中止を要請し、軍は対北拡声器の運用を中断した。

これに対し、北朝鮮も翌日には南向けの騒音放送を停止し、1年以上続いた騒音攻撃の応酬がついに終息した。

長らく「幽霊の泣き声」や「金属を削る音」といった不気味な騒音に悩まされてきた接境地域の住民の間では「ようやく安眠できる」と安堵の声も上がっている。

北朝鮮が対話に応じるかどうかは依然として不透明だが、新政権の対北政策が一定の成果を上げているのは間違いない。

こうした急速な変化を受けて、イ・ジェミョン大統領が公約として掲げた「9・19南北軍事合意の復元」を急ぐべきだとの声も出始めている。北朝鮮と協議するよりも、韓国側が先に復元を宣言して北朝鮮を動かすべきだという主張である。

だが、このような「先制復元」は性急すぎると言わざるを得ない。

北朝鮮が対南騒音放送を停止したのは事実だが、これをもって態度の変化と見るには時期尚早だ。

9・19軍事合意の復元には「相互性」と「比例性」が不可欠だ。南北が同時に軍事的緊張の緩和措置を講じなければ、接境地域の不安定な現実は変わらない。北朝鮮側からも明確な約束と具体的行動が示されない限り、韓国側だけが一方的に平和を唱えても、平和が実現するわけではない。

韓国軍の行動を制限しながらも、北朝鮮が応じない状況が続けば、新政権の対北融和政策自体が逆効果となる可能性すらある。

国民の安全と生命に直結する安全保障政策においては、決して「スピード勝負」で済ませてはならない。【news1 イム・ヨイク記者】

(c)news1

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