いわゆる「軍白期」(軍服務によるキャリアの空白期)による経歴断絶を避けるというのは、芸能人とスポーツ選手が兵役免除を試みる主な理由だ。寿命の短い職業の特殊性を考慮すると、2年に近い空白は、本人にとって大問題だからだ。
陸軍の現役服務を終えたキムさん(29)は「軍隊で訓練、作業をしながら意味のない時間を過ごしているという気がする時も多かった。芸能人や選手たちが兵役免除という選択をするのも理解できる」と話した。
このような理由を考慮して作られた芸術・体育系兵役特恵制度は、むしろ一般人には「相対的剥奪感」(他人と自分を比較して不満や欠乏の気持ちを抱くこと)を増大させる。
大学生のパク・ヨンチャンさん(27)は、「BTSやソン・フンミン選手が個人的に稼いでいる収入だけでも数十億、数百億ウォン台ではないか。まともに換算すらできない国威宣揚という価値だけで、兵役まで免除されることになれば、それは相対的剥奪感と同時に過度な特恵だ」と話した。
朝鮮戦争(1950~53年)の休戦国である韓国にとり、軍の戦闘力を維持し、国防力を増進するために兵役義務は課さざるを得ない。携帯電話の使用や兵士の給料引き上げなど、軍の士気増進のための福祉は拡充したものの、解決しなければならない宿題は依然として多い。
会社員のカン・ヨンジュンさん(34)は「単純に処罰だけ強化しても、今後さらに高度に進化するとみられる兵役逃れの手口を防ぐことはできないだろう。若い時期に2年近い時間を軍服務に割いたことによる報償と社会的合意が適切かどうかを考えなければならない」と語った。
(つづく)
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