2024 年 11月 2日 (土)
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「ウィル・スミスのビンタ」NFT、資産になるか (上)

「オープンシー」キャプチャー©MONEYTODAY

アカデミー賞授賞式(先月27日)で俳優ウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックを平手打ちした場面は、瞬く間に「ミーム」(meme)に浮上し、1日足らずで「ウィル・スミス・ビンタ」という名のNFTとして発行・販売され始めた。オンライン上の遊び文化として消費される「ミーム」がデジタル資産として取引されているのだ。

ミームを活用したNFTやコインは以前にも注目されてきた。米テスラCEOのイーロン・マスク氏が数回言及して話題になった暗号資産(仮想通貨)「ドージコイン(Dogecoin)」が代表的だ。ビットコインブームやマスク氏の発言によって、ドージコインは昨年、価格が4600%以上高騰した。だが、浮き沈みが激しい特性のため、果たして資産価値があるのか、という懸念が出ている。ミームは資産になり得るのだろうか。

「ミーム」はオンラインを浮遊しながら流行する写真・映像をいう。

既存のコンテンツが何かのきっかけで急浮上したり、新しいコンテンツが人気を得たりして、ミームとして消費される。バイデン米大統領の就任式(昨年1月20日)に着古したジャンパーと毛糸の手袋姿で現れたサンダース上院議員▽火災が起きた家を背景に笑っているいわゆる「災難の少女」――などがミームに該当する。

2017年から続くコインブームと、昨年初めから注目され始めたNFT市場で、ミームがデジタル資産として使われている。「ミーム資産」の代表格であるドージコインをきっかけに「シバイヌ(Shiba Inu)」「ドージロンマース(dogelon Mars)」「フロッキーイヌ(Floki Inu)」「ゲーミングドージ」など動物イメージを真似たミームコインは絶えず出ている。昨年は世界的人気を博した米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)オリジナル「イカゲーム」を活用した「スクイード(SQUID)コイン」も登場した。

ウィル・スミスの「ビンタNFT」もこのような流れを受けて登場した。

世界最大のNFT取引所「オープンシー」(Open Sea)のホームページで12日午後2時現在、ウィル・スミスを風刺したNFTが3920個検索された。ビンタの対象を日本のアニメ「ドラゴンボール」の「孫悟空」キャラクターに変えるなどのイメージが盛り込まれたNFTも目立った。グローバル仮想資産プラットフォーム「クリプトドットコム」によると、授賞式以降取引が始まった「ウィル・スミス・イヌ」(Will Smith Inu・WSI)トークン価格は先月30日、5400%急騰した。

ブロックチェーンのエヴァンジェリスト(最新技術をわかりやすく伝える専門職)のチェ・ファイン氏は次のように解説する。

「ミームは簡単に言うと『GIFT』と見ることができる。かつては資産に転換させることが難しかったが、NFTやコインとして発行されることで資産になっている。コミュニティが共有するトレンドであるミームとブロックチェーンが結合し、時代の話題になる部分に資産価値を付与するようになった」

©MONEYTODAY

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