2026 年 7月 5日 (日)
ホーム特集KW レポート 韓国を動かす「新有権者」20〜30代女性のリアル (3)…「陣営」でなく「生活」を基準に投票

[KWレポート] 韓国を動かす「新有権者」20〜30代女性のリアル (3)…「陣営」でなく「生活」を基準に投票

ソウル・光化門広場で開かれた弾劾歓迎ろうそく集会で、参加者が弾劾認容決定を祝う花火を上げている(c)MONEYTODAY

韓国の非常戒厳とそれに続く大統領弾劾、そして今後の大統領選や地方選挙を見据え、社会には大きな地殻変動が起きている。同じ激動の事件を経験しながらも、若い世代の間でその受け止め方に鮮明な「分断」が生じている。20~30代の男性が戒厳発令にいたる原因やその政治的な性格の究明に目を向けたのに対し、同世代の女性層は戒厳令が自身や社会にもたらした直接的な「脅威」に危機感を募らせた。

新たなキャスティングボートとして浮上した20~30代女性を象徴する「ニュー・タマンセ」は、この過程で生まれた。ニュー・タマンセは「若年層」や「特定政党支持層」として一括りにできない新しいタイプの有権者だ。

マネートゥデイ「the300」と社団法人「韓国女性議政」がオクソポリティクスとともに、オンラインコミュニティ、政治ユーチューブ、SNSコンテンツとコメントなど12万6584件のデータを分析した結果によると、20~30代女性は2024年12月3日の非常戒厳を民主主義と安全の深刻な危機として受け止めた。

戒厳直後の1カ月間、20~30代女性の政治発言のうち74.1%が野党「国民の力」への審判に集中した。憲政危機をめぐるテーマは70.0%と圧倒的だった。軍兵力が国会に進入する様子が生中継された夜、彼女らが最も多く口にした「重視する価値観を表すキーワード」は「安全」で62.2%だった。いわゆる「セウォル号世代」と呼ばれる20~30代女性たちは「民主主義が崩れれば自分の暮らしは安全なのか」という疑問を抱き、「推し活もできず政治ニュースばかり見るようになった」と、応援棒を手に広場へ向かった。

彼女らの怒りは一方向に向かっていたが、それが与党「共に民主党」支持を意味するわけではなかった。同じ時期、「親・民主党」発言の比率は15.0%にとどまった。「審判対象」と「支持対象」を別々に認識していたのだ。一方、20~30代男性は戒厳を陣営政治の延長線上で解釈する傾向が強かった。「反・国民の力」は36.2%、「反・民主党」は30.1%で拮抗し、「親・国民の力」発言の比率は14.7%と、女性の1.6%を大きく上回った。戒厳を「内乱」と見る視点と、「政争の一手」と見る観点が共存していた。

二つの集団の違いは選挙局面でさらに鮮明になった。戒厳直後に最も熱かった集団は、選挙を前に最も冷静になった。20~30代女性の中立発言比率は51.9%まで高まり、怒りは8.5%に低下した。広場を満たしていた感情の場を、候補の資質、公約、政党の対応を問いただす検証が占めた。

「親・民主党」発言は47.6%まで高まったが、盲目的支持ではなかった。「共に民主党」への批判発言も11.2%と2桁を記録し、民主党批判と双方批判を合わせたけん制発言は5件に1件に近い19.0%を維持した。彼女らが批判の矛先を向けたのは、与党「共に民主党」だった。ソウル市長候補による過去の暴行疑惑や、女性殺害事件(江南駅事件)の追悼を巡るジェンダー軽視ともとれる対応に反発した。

さらに、選挙直前に党幹部らが「身内(男性候補)をオッパ(お兄さん)と呼んで応援しよう」などと呼びかける時代錯誤な身内主義(オッパ論争)を展開すると、女性利用者が多いネットコミュニティでは「党費を返せ」「国民の力と変わらない」といった批判が相次いだ。

戒厳令の直後、彼女たちが重視する価値観として圧倒的1位だった「安全」は、選挙局面でも25.0%でトップを維持した。次いで「家族(24.0%)」「労働(12.3%)」「住居(9.3%)」と続いた。特徴的なのは、主流派の体質に失望した女性たちが、党の刷新を期待する政治家(チョ・グク元法相やキム・ブギョム元首相ら)の名前を具体的に挙げた点だ。「安全」や「公約」「期日前投票」といった、生活や制度に直結するキーワードとともに、これらの政治家の動向が女性集団の間でのみ上位に浮上した。

20~30代男性は異なっていた。戒厳直後に安全42.6%とともに実力36.1%を重要視した彼らは、選挙局面では実力46.7%を最も重要な価値に挙げた。税金、労働、外交のような統治効能に関する語彙は男性集団にのみ現れた。戒厳直後から選挙が終わるまで、「不正選挙」が上位キーワードに入ったことも注目される。

特筆すべきは、いずれの集団も世間のイメージとは裏腹に「理念(イデオロギー)対決」に終始していなかった点だ。女性は「自身の生活防衛」に、男性は「政治が何を成し遂げるか(成果)」にそれぞれ関心を集中させていた。

この過程で誕生した「ニュー・タマンセ」、つまり20~30代女性の新しい有権者集団は、戒厳令後に大規模な街頭デモに溢れかえった国民の怒りを、ただの感情論で終わらせず、各政党の資質を見極める「検証」へと昇華させた。そして、その結果を投票という形で明確に突きつけた。特定政党への忠誠より、自分の生活に重要な価値と議題を基準に評価する独自の有権者集団になったのだ。

2016年の「タマンセ」が民主主義という一つの価値を守るために広場へ出たのなら、2度目の弾劾を経た2026年の「ニュー・タマンセ」は、それぞれの生活を守るために投票所へ向かった。彼女らの選択基準は「陣営」ではなく「生活」だった。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular