並行輸入の光と影
◇免税店から大型マートまで
高価な海外衣類に人気が集中するなか、引く手あまたになっているのが「並行輸入」(海外の有名ブランド品などを、正規の代理店とは別ルートで輸入)の業者だ。オンラインブランド専門プラットフォームだけでなく免税店、大型マート、百貨店まで、業者の誘致にやっきになっている。
これまでの事業に比べ、売り上げの割合は微々たるものだ。ただ、少ない費用で若い消費者を引き入れることができる。
ロッテオンは今年9月、ブランド品専門館「オン アンド ザ ラグジュアリー」を開館した。SSGドットコムも今年7月に「SSGラグジュアリー」を新設し、割引イベントなどを開催している。
ブランド品専門館ではブランド公式販売の他にプラットフォームの直接買入商品、外部の並行輸入商品などが販売される。
両社ともブランド品専門館を通じてラグジュアリーライフスタイルプラットフォームを目指す。
CJオンスタイルの場合、今年に入ってオンラインブランドプラットフォーム「マストイット」に200億ウォンを戦略投資し、9月にマストイットとともにブランド専門ライブ放送も試みた。
◇MZ世代の特性反映
免税店も並行輸入商品を増やしている。新羅(シルラ)免税店は「新羅ブティック」でメゾンキツネ、GANNI、トムブラウンなどを直接購入して販売する。新羅免税店は詳細情報を公開し、「並行輸入商品として新羅免税店が直接買い入れた。新羅免税店が正式輸入業者を通じて公式的に輸入した正規品だ」と説明している。
新世界免税店、現代百貨店免税店も並行輸入商品を扱う。
免税業界関係者は「多様な商品を望むMZ世代の特性を反映し、並行輸入商品を増やしている。主要顧客層もMZ世代が大部分だ」という。
並行輸入ではロイヤリティを支払わずに海外セレクトショップやアウトレットを通じて、季節繰越商品などを購入する場合が多い。
韓国に公式輸入する際、ファッション企業の場合、百貨店の売り場の運用費用なども考慮する必要がある。だが並行輸入は登録手続きが簡単で、インターネット販売が可能だ。
韓国政府も競争を通じた価格引き下げ効果を狙ってここ数年、並行輸入手続きを簡素化している。高価な衣類の消費が大きくなり、並行輸入に対する消費者の心理的拒否感もかなり低くなったようだ。
◇流通構造が不透明
だが、並行輸入は消費者に届くまで流通構造が不透明で、問題が絶えない。どうすれば正規品と確信できるかも課題だ。
エ・ル・シャ(エルメス・ルイヴィトン・シャネル)のような既存のブランド品とは異なり、新ブランドは歴史が浅く、衣類は大部分がOEM(委託者のブランドで製品を生産すること)だ。工場別、商品別に特性の違いが大きく、並行輸入業者の商品を一つ一つ確認するのも難しい。
並行輸入業者がプラットフォームに入店する場合、消費者のための商品情報(製造国、メーカー、アフターサービス責任者、販売会社など)の告示義務もすべて販売者の役割だ。
並行輸入品の取り扱いをめぐり、ファッションプラットフォーム会社は二つの立場に分かれている。一つは「正規品」「公式流通」を強調するため戦略的に並行輸入品を排除する。もう一つは、多様な商品を最大限販売するため、並行輸入品を販売する――というものだ。
(おわり)
「韓国『新ブランド』争奪戦」はMONEYTODAYのチョン・インジ、キム・ウンリョン、イム・チャニョンの各記者が取材しました。
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