2024 年 9月 23日 (月)
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EV失速、“代替”ハイブリッドも「環境対応」の課題 [KWレポート] 韓国・電気自動車火災1カ月 (下)

起亜ニューソレント(c)news1

韓国で電気自動車(EV)の安全性に関する問題が浮上し、ハイブリッド車が環境対応車市場でEVの代替手段として注目されている。ただ、環境対応車の二酸化炭素排出基準が強化され、ハイブリッド車の持続可能性には疑問が提起されている。韓国の自動車メーカーは、高性能ハイブリッド車の生産とEVの新車開発により、市場の変化に対応している。

2024年1~8月の韓国EVの販売台数は2万5548台で、前年同期比45.1%減少した。一方、同期間のハイブリッド車販売は24万1375台で、21.7%増加した。充電インフラの不足や高価格などが原因で、EVの購入をためらうドライバーが、EVの代わりにハイブリッド車を選択しているとみられている。

こうした状況にもかかわらず、最近の環境対応車政策はハイブリッド車に対して好意的ではない。韓国国内では今年末で終了予定だった環境対応車の税制優遇措置が来年まで延長されており、この中にはハイブリッド車も含まれている。来年まではハイブリッド車も環境対応車として認められるのだ。

だが、国際社会ではハイブリッド車はもはや環境対応車ではない。国内で人気のソレントやサンタフェのハイブリッドモデルの二酸化炭素排出量は1kmあたり150~160gで、欧州連合(EU)の環境対応車基準である95g/kmを超えている。EUは来年からこの基準を93.6g/kmに強化する。米国では2032年までに乗用車と小型トラックの二酸化炭素排出量を1マイル(約1.6km)あたり82gに制限することになっている。

現代自動車グループはハイブリッド車の拡大と高性能ハイブリッド車の生産など、さまざまな戦略で市場の変化に対応している。現在7種類のハイブリッドモデルを14種類に拡大し、燃費が大幅に改善された次世代ハイブリッドシステムTMED-IIを2025年1月から量産車両に適用する。

高性能ハイブリッドシステム「EREV(Extended Range Electrified Vehicle)」も開発する。これはEVのように電力で駆動する一方、エンジンが電気を生産し、バッテリーの充電をサポートするもので、900km以上の走行が可能だ。EREVは炭素排出量を削減できるため、各国の規制強化にも対応できると期待されている。

世界のEV市場が拡大しているため、大型電気スポーツユーティリティ車(SUV)のアイオニック9などの新車開発も加速している。2024年1~7月に世界で登録されたEVは合計854万3000台で、前年同期比で20.8%増加した。2021年の109.9%、2022年の56.9%、2023年の33.5%と、世界のEV市場の成長速度は鈍化しているが、依然として上昇傾向にあり、炭素規制の強化が進むなか、新車を通じて市場シェアの拡大を図る戦略だ。

米ブルームバーグ通信が発表したEVの2024年の見通しレポートによると、2027年には世界の新車販売のうちEVが33%を占めると予想されている。

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