
韓国の統一地方選で発生した「投票用紙の不足問題」を巡り、一部の有権者が投票を断念したとして、選挙無効を求める訴訟に発展する可能性が高まっている。ただ、法曹界では選挙全体の無効化や中央選挙管理委員会の刑事責任を問うのは容易ではないとの見方が強く、選管委員の「弾劾」の是非についても意見が分かれている。
韓国の公職選挙法(224条)は、選挙事務の規定違反があり、それが「選挙結果に影響を及ぼしたと認められる場合」に限り、選挙を無効にできると定めている。
過去の最高裁判例によると、「選挙結果に影響を及ぼした」とは、規定違反がなければ当選者が変わっていた可能性を指す。このため、実際に裁判となった場合は、投票用紙不足によって投票できなかった有権者の具体的な数や、それが当落の票差を覆し得たかどうかが最大の争点となる。
韓国の選挙・当選無効訴訟は、最高裁の一審制であり、ハードルは非常に高い。2004年の総選挙では、9票差で敗れた候補が「一部で投票用紙の交付数と投票数にズレがある」として当選無効を訴えたが、最高裁は「結果に影響したとまでは断定できない」として退けた経緯がある。刑事責任についても、選管出身の弁護士は「単なる需要予測の誤り(職務怠慢)にとどまる場合、意図的な『投票妨害』などの故意性を立証するのは難しい」と指摘する。
一方で、国会による選管委員の弾劾を求める声も上がっている。韓国憲法に基づき、国会(在籍議員の3分の1以上の発議、過半数の賛成)で弾劾訴訴追案が可決されれば、憲法裁判所の審判に委ねられる。
法曹界や憲法学者の一部からは、「憲法が保障する『公正な参政権』を保全しなかった」として弾劾事由に当たるとの見方がある一方、憲法研究官を歴任した弁護士らは「あってはならない失態だが、故意による憲法・法律違反とまでは言えず、対象外だ」と否定的だ。
また、ある法曹関係者は「野党が政治的パフォーマンスとして弾劾を国会に発議する可能性はあるが、現在の国会構成を考えると可決に必要な過半数の賛成を得るのは困難だろう」との見通しを示している。
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