
韓国国内でタクシー運転手が中国国籍の女性乗客から暴行を受けたにもかかわらず、加害者が出国してしまったことで、被害者が「悔しい」と訴えている。
JTBCの報道番組「事件班長」によると、事件は2025年3月12日午前1時ごろ、50代のタクシー運転手が、中国語を話す男女の乗客を乗せて運行中に発生した。
車両に搭載されたブラックボックスの映像には、女性乗客が同乗の男性と中国語で口論をした後、突然タクシーを停めるよう要求し、道路の真ん中で降りようとする様子が記録されていた。自動ロックでドアが開かず、女性は反対側のドアも開けようとした。
それを止めようとした運転手に対し、女性は突然、拳を振るい、顔や頭を何度も殴打。運転手は何とか車を近くの安全地帯に移動させて停車させた。

停車後、同乗の男性はドアを開けて片側5車線の大通りを横切って逃走。運転手が追いかけると、女性も逃走を図ったが、警察が現場に到着し、女性を現行犯逮捕した。
しかし翌日午前8時ごろ、警察から運転手に「女性は中国人で酒に酔っていた。謝罪の意思があり、当日中に出国予定。示談に応じる意志はあるか」との連絡が入った。
運転手は「耳から出血し、耳鳴りの症状もある。まだ病院にも行っていないので示談には応じられない」と回答した。
だが、翌日、再び警察に問い合わせると、「女性はすでに出国した可能性が高い。午後の便だと聞いている。外国人だからといって、ただちに出国を制限できるわけではない」との説明を受けたという。
この結果、運転手は加害者に対する処罰も、損害賠償請求もできない状況に置かれ、「非常に悔しい」として国民請願まで提出したと明らかにした。
番組のソン・スホ弁護士は「原則的には出国を制限すべきだった。しかし出国済みであれば、韓国の法制度では取れる措置がほとんどない。警察も外国人の基本権を理由に出国制限をかけられなかったようだが、被害者にとっては到底納得できない結果だ」と指摘している。
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