
韓国最大野党「共に民主党」の大統領候補、イ・ジェミョン(李在明)氏は2日、自身の公職選挙法違反事件に関する大法院(最高裁)の有罪趣旨による差し戻し判決について、「大法院側からは“早く整理して棄却しよう”と聞いていたのに、ある日突然、方針が変わったと伝えられた」と述べた。
イ・ジェミョン氏は同日、YouTubeチャンネル「キム・オジュンの謙虚は難しいニュース工場」に出演し、「直接ではないが、大法院側とコミュニケーションがあった。“人が生きる社会”で、そうした接触がまったくないとは言えない」と語った。さらに「大法院は法律審であるため、事実関係を変更するには特別な事情が必要で、そうするには証拠を見なければならない。しかし証拠は6万ページある。最終的に裁判官たちは(記録を)見ずに判決を出したようだ」と指摘した。
そのうえで、次のように強調した。
「私も法曹として長年生きてきて、政治活動でも様々な局面を経験してきたが、2日で差し戻しを決めたのは本当に呆れるほどだ。司法府という集団には集団知性がある。私は依然として司法に対する信頼を持っている。司法全体を疑ったり貶めたりすることは、社会にとって損失だ」
この発言に対し、保守系与党「国民の力」は即座に「司法壟断(のうだん=都合のよい場所を見定め、利益を独占すること))だ」と反発した。
同党の中央選挙対策委員会のパク・ソンフン報道官は「司法府は民主主義の最後の砦であるべき存在だ。今回の件は重大な政治的中立性の侵害であり、“早く棄却しよう”と話したという大法院関係者こそ特別検察官の対象だ。誰も法の上に立つことはできない」と強調した。さらに「大法院はイ・ジェミョン氏の発言に対し、即座に事実関係を明らかにすべきだ。誰が棄却を約束し、誰が内部の情報を流したのか、司法への働きかけや取引の有無を特検を通じて必ず解明する」と主張した。
同党のパク・ヨンチャン中央選対委広報メッセージ団長も「判決確定を目前に控えた時期に被告側と大法院が接触していたとすれば、それは極めて不適切な司法取引を裏付ける重大な状況証拠だ」として、イ・ジェミョン氏に対して「誰と、どんな内容のやりとりがあったのか、包み隠さず明らかにすべきだ」と迫った。
国会法制司法委員会に所属する「国民の力」の議員らも連名で声明を発表し、「イ・ジェミョン氏が司法との“内通”を自白するという衝撃的な事態が起きた。真相を徹底的に明らかにせよ」と強調した。さらに、「大法院が沈黙を貫くならば“三権分立”は崩壊し、イ・ジェミョン氏による“三権独裁”に加担する歴史として記録されるだろう」と警告した。
これに対し、共に民主党の選挙対策本部「本当の大韓民国」広報チームは「イ・ジェミョン氏は大法院と直接やりとりしたとは発言していない。番組内でも“大法院から直接聞いた話ではない”と明確に説明している」と反論。そのうえで「事実に基づいて報道すべきであり、『イ・ジェミョン氏が大法院と接触した』という記事には訂正を求める。訂正されない場合は法的措置を講じる」と警告した。
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