2025 年 1月 28日 (火)
ホーム特集現場ルポ「キャッシュレス」ソウルを「現金だけ」で歩いてみた…日本の45歳女性「七転八倒」ルポ (下)

「キャッシュレス」ソウルを「現金だけ」で歩いてみた…日本の45歳女性「七転八倒」ルポ (下)

「現金決済」ボタンが見当たらず、迷う落合さんの指先(c)news1

◇外国人に人気の「ホットプレイス」は現金歓迎

落合さんは「行きたかったカフェがある」と言い、ウキウキと足を運んだ。場所は外国人観光客が多く訪れるとされる、ソウル市城東区聖水洞2街のカフェ。先に並んでいた外国人客が現金で支払う様子を見た落合さんは、安心した様子だった。スタッフも慣れた手つきで釣り銭を返していた。

落合さんは白い封筒から1万ウォン札2枚と1000ウォン札1枚を取り出し、コーヒー代を支払った。手際よく釣り銭を用意した店員は「聖水は外国人観光客が多いので、現金を使うお客様もそこそこいらっしゃいます。だから釣り銭は常に用意しておきます」と語った。

仁寺洞で餅屋を営む50代女性も「最近はお年寄りも外国人もあまり現金を使わない」と言いつつも「それでも基本的な釣り銭は用意してあります」と明かした。

現金が使えない不便なソウル旅行だ。それでも、外国人観光客が訪れる一部の「ホットプレイス」では現金決済が可能だった。外国人観光客の中には現金を利用する人も少なくないという証左にもなっている。

◇「現金が使えるようにしていただけると…」

結局、落合さんは1日中、冷や汗をかきながら現金を使い続けた。「久しぶりに現金だけを使ったら、不便さを感じた」。こう笑う。普段は「韓国に住んでいるとカードが便利」と話していた彼女の姿はどこへやら、すっかり意見が変わったようだ。

最後に感想を尋ねると、落合さんはこう答えた。

「やっぱり外国人はカードを持っていないこともありますから、現金をもっと使えるようにしていただけるとありがたいです」

拒否され、迷い続けた1日の疲れのせいか、彼女は気恥ずかしそうに笑いながら控えめな要望を残した。

記者は彼女が戸惑う様子をそばで見ながら、消費者でありながら堂々とできない立場の人々を思い浮かべた。

「現金のない社会」への急速な移行ではなく、高齢者や子ども、そして外国人ら、現金に慣れ親しんだ人々と歩調を合わせることはできないのだろうか――。

落合さんに「日本政府も『現金のない社会』を進めているのではないですか」と尋ねると、彼女は「日本には、まだ現金を使う雰囲気があります。日本で最近、新紙幣が発行されていて、少し不思議に感じました」。こんな話を教えてくれた。

(c)news1

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