緊急治療室に空きがなく、待たされたり受け入れてくれる病院を探したりして1時間以上さまよう――この「緊急治療室たらい回し問題」が最近、韓国でより深刻化している。
「病院の前で3時間も待ったことがあります。受け入れてくれないと言われ、40~50回も電話をかけたことがあります」
ソウルで働く救急隊員は、医師と政府の対立による緊急治療室の運営混乱について、こう答えた。緊急医療の危機が、秋夕(チュソク、韓国の旧盆)連休中に最高潮に達することが予想される中、「ゴールデンタイム」に追われる119救急隊員たちは、もどかしさを訴えた。
新型コロナウイルス感染拡大の時以上に、最近は忙しいという。「医療スタッフがいないため、1時間以上、遠方に出向くことが大半で、遠くに行っても受け入れてくれる緊急治療室がない」と吐露した。
今では、重症患者と軽症患者の境界にいる「曖昧な患者」は病院外に押し出されるのが当たり前になっている。
この隊員は「顔に大きな裂傷がある患者で、体温や血圧が少しでも下がれば重症と見なされる場合があるが、まだ重症ではない場合は緊急治療室に行けない」そうだ。
隊員によると、最近、うつ病を患っている人が多く、薬を大量に服用しているケースがある。だが、患者がどれだけ薬を服用したかわからず、病院に重症度を明確に伝えられないという。「そのような状況では病院は『もっと症状が悪化したら電話してください』と言い、救急隊は他の病院に連絡しながらさまよう」という。
ソウルの別の地域で勤務する救急隊員も「1時間以上かかることが多い。受け入れてくれる病院がなく、忠南(チュンナム)まで行ったこともある。最近は自分の担当区域でないと受け入れてくれない病院が多い」と訴えた。
患者を受け入れてくれる病院をようやく見つけて搬送しても、適切な治療を受けられない場合が多いという。
患者の容体によっては、救急医学科の医師だけでなく眼科や神経外科など他の専門医が必要な場合もある。緊急治療室で診察する専門研修医が必要だが、彼らは今、病院にいない。
一方、保健福祉省によると、6日現在の緊急治療室運営状況は、全国の409カ所の緊急治療室のうち24時間運営している緊急治療室が405カ所であり、そのうち27カ所は病床を縮小して運営している。
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