「いらっしゃいませ、ご主人様・お姫様」
今月6日午後3時ごろ、ソウル市麻浦区にある「メイドカフェ」に入ると、黒いワンピースに白いレースエプロンをつけた女性メイドが笑顔で出迎えた。
店員の服装、客への接し方……。メイドカフェは、通常のカフェとは何から何まで違う。カフェには一人で来る客、友達と一緒に来る男性客、それにカップル客もいた。
メイドカフェとは、西洋式のお手伝いさんの服装をした、女性従業員がお客さんを「ご主人様」と呼び、会話をしながら飲食物をサービングするカフェのことを言う。メイドという言葉が本格的に使われ始めたのは、英国ビクトリア女王時代と伝えられている。
欧州は近代化を経てメイドの存在自体が消え、メイド服は一つの性的な意味だけが残るようになった。2000年に入り、日本でメイドカフェが大流行し、最近になって韓国にもメイドカフェが続々と立ち上げられた。
韓国ではメイドカフェに対し、さまざまな反応が上がっている。「個人の好みであり一種の遊び文化だから尊重しなければならない」という声がある一方、「若い女性だけを雇用し、メイド服装を着させて勤務させる。性の商品化だ」という批判も相次いだ。
日本式メイドカフェがソウルに初めてオープンしてから6カ月。メイドカフェの現場をのぞいてみた。
◇一般カフェにない案内やメニュー
案内に従って席に座った。メイド姿の従業員が床にひざまずいてメニューを手渡す。メニューには一般のカフェでは見られない「案内文」があった。
「メイドとご主人様の秘密約束」という文句の下には▽連絡先を尋ねるなどプライバシーに関する質問禁止▽体を触る行為禁止▽メイドの顔や身体を入れた無断撮影禁止――と書かれていた。
他のカフェにはないメニューも目に入った。追加料金を払えば、メイドとゲームをしたり、メイドを指名して一緒にポラロイド写真を撮ったりすることができた。メイドにポーズを求めることもできた。写真の価格は1~2万ウォン(1ウォン=約0.1円)台だった。
午後4時ごろになると、女性同士の客、カップル、男性1人……と、相次いで客が入ってくる。
ある男性は、雰囲気に戸惑ったのか、恥ずかしそうな表情を浮かべ、一緒にやって来た女性客に照れくさそうな笑みを見せた。
ほどなくして料理が出てくると、このカップルは、メイドから教えられ、注文する際に添える「モエモエキュン」という言葉を覚えた。
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