ハンイルプリマスは、デザイン開発と量産のため、経験豊富な業者を探す必要があった。米国の有名デザイン会社「Pensar」の業務経験を高く評価してMOU(了解覚書)を結んだが、同社は新型コロナウイルスの影響で廃業した。
ハンイルプリマスのチャン・ウンジュ代表は「新たなデザイン業者を探そうとしたが、情報力や費用面で限界があった」と振り返る。だが、韓国デザイン振興院(KIDP)の支援事業により、優れたデザイン業者を探し、費用面でも助けられたという。
「VOK」の開発で生まれた中間生成物でも成果も出ている。
ハンイルプリマスは「VOK」の開発過程でステンレス中間材料をアルミニウムから鉄に代えた素材「アイアンコア」を開発。最近、この素材を適用し、インダクション(電磁誘導)使用時に熱効率を高めたキッチン用品を公表した。
インダクションの場合、アルミニウムより鉄が入った製品の方が高い熱効率を出せるというのが会社側の説明だ。
育成事業の支援を受ける前の2019年に2億2500万ウォン(約2324万円)だった会社の売上高は、2020年に7億ウォン(約7230万円)台に成長し、2022年は12億ウォン(約1億2394万円)台を予想している。かつて皆無だった海外輸出も30万ドル(約3836万円)に増えた。
ハンイルステンレスの創業当時、韓国はOEM(相手先ブランドによる受託生産)の拠点として重視され、世界の厨房用品の70%以上を製造した。だが、今は第2次産業企業が廃業したり、海外に生産拠点を移したりした。「それでも製造業は依然、産業の根幹だ。デザインの革新を通じて一皮むけて、最先端企業に生まれ変わらなければならない」。チャン・ウンジュ代表はこう力を込める。
(つづく)
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