
「子どもから連絡が来るかもしれないと思い、20年以上同じ番号を使ってきました。死ぬほど憎い気持ちでも持って、生きていてくれればと思っていたのに」。5月18日、ソウルのカフェで取材に応じたイ・エリラナさん(52)は、しばらく言葉を継げず、目元をぬぐった。
イ・エリラナさんは1993年、京畿道城南市の病院で長女を出産した。病院と東方社会福祉会から「子どもは重い障害があり、その後死亡した」と説明を受け、長年そう信じて生きてきた。
ところが2007年、埋葬場所を尋ねた際、娘は死亡しておらず米国へ養子に出されていたことを知らされた。養子縁組書類には、イ・エリラナさんが病気の子どもを捨てて家出した未婚の母として記録されていたという。
イ・エリラナさんは娘との再会を願い、記録を集め続けた。養母との連絡を通じ、娘が自身のルーツを探していたことも判明した。娘は2023年、実父の姓「パク」への改名許可を受けたが、その2日後に「韓国に行く夢はかなえられないと思う」と言い残し、自ら命を絶った。遺品には韓国訪問への希望が記されていたという。
イ・エリラナさんは現在も、娘がどのような経緯で海外養子になったのか確認できていない。現行制度では養子本人の知る権利が優先され、実親による記録閲覧は極めて限定的だからだ。
イ・エリラナさんを含む女性5人は5月、真実・和解のための過去事整理委員会に真相究明を申請した。養子縁組機関による署名偽造などを主張し、記録アクセス権の保障と国家レベルの全数調査を求めている。
2025年施行の国際養子縁組法で手続きは国家責任へ移行したが、関係者からは記録公開の問題は根本的に改善されていないとの指摘が出ている。
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