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ソウルのチョンセ(保証金賃貸)市場で最近、家を見ずに契約する「ノールック(No-Look)チョンセ」が急速に増えている。チョンセ物件が急減し、相場より1億ウォン(約1100万円)ほど高い価格でも、まず契約金を送るケースが相次いでいる。
少しでも遅れれば物件がなくなるという不安が大きい。学区の良い地域では、午前中に出たチョンセ物件がその日のうちになくなることもある。借り手は水道やカビなど基本的な状態すら確認する時間がないまま契約に踏み切る。チョンセ詐欺の有無を点検する余裕もない。
ソウルのチョンセ市場は、「価格」より「速度」が優先される市場へと変わっている。2025年10月15日の対策以降、ギャップ投資(チョンセ付き住宅売買)が事実上難しくなり、実居住中心の構造が強まったことで、チョンセ供給が減った影響だ。不動産ビッグデータプラットフォーム「アシル」によると、江北区弥阿洞の「SK北漢山市」(3830世帯)のチョンセ物件は4日時点でわずか2件にとどまる。
無住宅者の住居不安は数値にも表れている。KB不動産によると、4月第4週のソウルのチョンセ需給指数は181.4で、約5年ぶりの高水準となった。チョンセ需給指数は100を超えると、需要が供給を上回ることを意味する。
需給の不均衡が深まるなか、チョンセ価格も上昇を続けている。KB不動産によると、4月のマンション平均チョンセ価格は6億8147万ウォン(約7500万円)で、過去最高を記録した。
「ノールック」チョンセ契約は、単なる新造語として片付けられる問題ではない。住宅供給不足が続く限り、こうした契約方式は次第に一般化する可能性が大きい。
さらに今月10日に多住宅保有者への譲渡税重課が復活すれば、「堅実な一軒」への選好が強まり、チョンセ供給はさらに縮小しかねない。チョンセや月払い賃貸料の上昇圧力も同時に強まる見通しだ。
ソウルの賃貸市場は、もはや価格だけでは説明できない。契約速度が優先される構造のなかで、借り手は十分な情報を確認する機会すら得にくい。貸主と借り手の間の情報の非対称性が深まり、市場の均衡も揺らいでいる。
結局、十分な選択肢と検証過程なしに契約が成立する構造が固定化するほど、その負担はそのまま借り手に向かうほかない。
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