
韓国大法院(最高裁)が9月19日、公務上秘密漏洩や職権乱用権利行使妨害などの罪に問われた元空軍中領に対する有罪判決を破棄し、事件をソウル高裁へ差し戻した。そのなかで大法院は、捜査機関が押収した携帯電話から全データを無差別に収集し、別件捜査の証拠として利用するのは違法であるとの判断を示した。基本権を著しく侵害する可能性があるとして、今後の捜査実務に大きな影響を及ぼす見通しだ。
事件は2017年、パク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾審判で浮上した国軍機務司令部の戒厳令検討疑惑捜査で始まった。特別捜査団は内乱陰謀などの容疑で中領の携帯電話を押収。しかし本人はフォレンジック(電子鑑識)の過程に立ち会わなかった。
捜査官は携帯データの複製を作成し、関連情報を選別することなく全情報をエクセルファイル化して軍検事に提供した。軍検事はそこから別件である軍事機密漏洩の証拠を発見した。中領が退役後の就職を目的に国防関連の内部資料を作成し、ローファーム関係者に渡した事実が見つかったのだ。
その後、追加で2度の家宅捜索令状が発付され、中領は昇進人事結果を知人に漏らした疑いなども加わり起訴された。
1審と2審は、携帯データのエクセル化は「最初の令状に基づく事実関連情報を選別するための準備手続き」に過ぎないと判断し、中領に懲役8カ月・執行猶予1年を言い渡していた。
しかし大法院は「携帯電話には膨大な私生活情報が集積しており、無制限の押収は基本権侵害の程度が甚大になり得る。しかも被告は最初の令状に記載された犯罪事実の被疑者ですらなかった」と指摘した。
さらに「複製から全情報をエクセル化し取得する手続きは、令状主義と適法手続き原則に反する違法な押収であり、その後に追加令状が発付されたからといって違法性が正されるわけではない」と強調した。
大法院はまた、フォレンジック担当者が当初から令状記載の犯罪事実に関連する範囲を限定して検索・抽出すべきだったが、無分別な別件捜査を防ぐ措置を一切講じなかったと批判した。
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