2026 年 5月 3日 (日)

年間アーカイブ 2025

韓国初の聴覚障害者ニュースキャスター誕生…「障害は決して壁にはならない」

韓国で初めて、聴覚障害を持つニュースキャスターが地上波放送に登場する。公共放送KBSは、障害者キャスター養成プログラム「第8期障害者キャスター」に選ばれたノ・ヒジ氏(26)が、5月7日からKBS1テレビ「KBSニュース12」の生活情報コーナーを担当すると発表した。 ノ・ヒジ氏は先天的に重度の聴覚障害を持って生まれた。しかし、言語治療など絶え間ない努力を重ね、他者が障害に気付かないほどの発話力とコミュニケーション能力を身に付けたとKBSは説明している。 KBSによれば、ノ・ヒジ氏は自身の発音すら聞き取れない状態だった幼少期から、箸を口にくわえて微細な震えの違いを感じ取りながら発音練習をしてきた。ニュース進行時にも、プロデューサーからの指示を受け取るためのインイヤー装置の音量を最大にしてようやく聞き取れる程度。ミスを避けるため、他のキャスターの何倍もの練習を積んできたという。 ノ・ヒジ氏は、一般の小・中・高校で学業を続け、周囲の障害に対する認識が変わっていくのを感じたという。「公共放送KBSの一員として、視聴者に希望を与えられるキャスターになりたい」と語った。 そのうえで「障害は決して人生の壁にはならないということを学んだ。障害によって自分の人生を制限しないようになった。社会の障害に対する偏見を変える一助になりたい」と意欲を示した。 (c)NEWSIS

韓国大統領選・差し戻し判決後も李在明氏が依然首位…仮想3者対決で優位維持、中道層でも高支持率

韓国の次期大統領選挙に向けた仮想3者対決の世論調査で、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補が引き続き首位を維持していることが明らかになった。今回の調査は、イ・ジェミョン氏が公職選挙法違反事件で大法院(最高裁)から破棄差戻しの判決を受けた直後に実施されたもので、司法リスクの影響でやや支持率が下落した。 世論調査会社リアルメーターがエネルギー経済新聞の依頼で、4月30日から5月2日にかけて全国の18歳以上の有権者1509人を対象に実施・公開した。それによると、イ・ジェミョン氏と与党「国民の力」のキム・ムンス(金文洙)氏、革新新党のイ・ジュンソク(李俊錫)氏との仮想3者対決では、イ・ジェミョン氏が46.6%、キム・ムンス氏が27.8%、イ・ジュンソク氏が7.5%となった。 この調査は、5月1日にイ・ジェミョン氏が大法院全員合議体から有罪の趣旨で破棄差戻しの判決を受け、3日にキム・ムンス氏が国民の力の候補に選出される前に実施された調査の結果となる。 政党支持層別では、共に民主党の支持者の94.9%、進歩層の81.7%がイ・ジェミョン氏を支持。国民の力の支持者の60.3%、保守層の48.9%がキム・ムンス氏を支持した。一方、中道層ではイ・ジェミョン氏が52.1%、キム・ムンス氏が20.3%と大きな差を見せた。 また、仮にキム・ムンス氏の代わりに、無所属で出馬を表明しているハン・ドクス(韓悳洙)前首相が出馬した場合の仮想対決では、イ・ジェミョン氏が46.5%、ハン・ドクス氏が34.3%、イ・ジュンソク氏が5.9%となり、イ・ジェミョン氏が依然としてリードしている。 この場合、共に民主党支持層の95.4%、進歩層の81.9%がイ・ジェミョン氏を支持し、国民の力支持層の71.4%、保守層の57.7%がハン・ドクス氏を支持。中道層でもイ・ジェミョン氏が52.3%、ハン・ドクス氏が28.3%と優位に立っている。 前回調査と比較すると、イ・ジェミョン氏の支持率は50.9%から46.6%へと4.3ポイント下落。これに対し、キム・ムンス氏は23.3%から27.8%へと4.5ポイント上昇している。イ・ジェミョン氏の支持率下落には、大法院の有罪趣旨の判決が影響した可能性がある。 一方で、キム・ムンス氏が国民の力の候補となったのは調査終了後の5月3日であり、今回の調査にはその影響が反映されていない。また、これまでイ・ジェミョン氏・ハン・ドクス氏・イ・ジュンソク氏による仮想3者対決の調査は実施されていなかった。 今回の調査では政権交代を求める声が依然として多数を占めており、回答者の51.5%が「共に民主党など進歩陣営による政権交代」を希望。これに対し「国民の力など保守陣営による政権維持」は42.8%となった。 (c)news1

「DINKsのはずが…」出産後に妻が態度急変、1.5億円の財産を奪って離婚…韓国・計画的?

子どもを持たないと宣言した妻が出産後に態度を一変させ、夫の全財産を奪って離婚したという韓国の40代男性の体験談が4月29日放送のJTBC「事件班長」で紹介された。男性は「人生最大の後悔は妻との出会いだった」と振り返った。 交際1年で結婚した当初、妻は少し神経質に見えた。子どもを持たずに共働きする「DINKs」を宣言したものの、うっかり妊娠してしまったと言って出産を選択。その後、男性を「あなたのせいで人生が台無しになった」と激しく責め、服をハサミで切り裂くなどの暴力も受けた。 専業主婦になった妻はささいなことで怒った。不在着信が100件を超えることもあり、会社にも電話してきて騒ぐため、男性の職場での評価はガタ落ち。けんかのたびに妻が男性の友人たちに連絡して悪口を言うので、友人関係も断絶した。 離婚に当たって妻は「全財産を置いていけ」と言い放ち、男性は約15億ウォン(約1億5000万円)相当の資産と息子を託して家を出た。息子は「ママには僕しかいない」と言って、母親との同居を選んだのだ。 離婚後も妻からの金銭要求は続き、男性の生活は破綻。収入がなくなると連絡が途絶え、離婚から2年後には音信不通になった。男性は「財産分与の権利消滅を狙った計画的な行動だったのでは」と語り、「せめて息子に会いたい」と訴えた。 番組に出演した弁護士は「財産分与目的の可能性は高いが、自発的に譲渡した財産を取り戻すのは難しい。ただし面会権については法的に認められる可能性がある」との見解を示した。 (c)news1

化粧品店・食料品店は1年以内に3割廃業…韓国・美容室やコンビニは90%超生存

韓国で2023年、生活に密着した「100大生活業種」における新規創業のうち、約22%が1年以内に廃業していたことが明らかになった。特に化粧品店や食料品店などの生存率が低く、一方で美容室やコンビニエンスストアは高い生存率を記録している。 韓国国税庁が4月29日に発表した「国税統計」によると、2023年時点での100大生活業種における1年生存率は77.9%だった。すなわち、約5社に1社は1年を持たずに閉店している計算となる。 1年生存率の推移を見ると、2019年(77.8%)から2022年(79.8%)まで微増傾向が続いていたが、2023年には再び減少に転じた。国税庁は2017年からこの100業種を対象に統計を集計している。 2023年時点で新規創業数が多かった上位20業種のうち、1年生存率が高かったのは美容室(91.1%)、ペンション・ゲストハウス(90.8%)、コンビニエンスストア(90.3%)だった。 一方、最も低かったのは通信販売業(69.8%)で、化粧品店(74.2%)、食料品店(77.3%)と続いた。つまり、通信販売では3社に1社、化粧品店では約4社に1社が1年以内に閉業している計算だ。 また、3年生存率は2021年の51.4%から2022年は54.7%に上昇したが、2023年には53.8%とやや低下した。3年間生存できた業種のトップは、美容室(73.4%)、ペンション・ゲストハウス(73.1%)、教習所(70.1%)だった。 反対に、通信販売業(45.7%)、軽食店(46.6%)、ファストフード店(46.8%)などは、生存率が半数以下にとどまった。 外食産業における3年生存率では、パン屋(58.5%)が最も高く、次いでカフェ(53.2%)、ピザ・ハンバーガー専門店(51.0%)となっている。一方、チキン専門店は45.4%にとどまり、半数以上が3年以内に廃業している。 (c)news1

「家族の月」に異変? カーネーションが菊に敗北…韓国の花市場に異常事態

韓国で「家族の月」5月を迎えても、カーネーションの販売量が菊に及ばない。花屋を営む人々は、新型コロナウイルス感染拡大以降に減少した花の需要が、今もなお回復していないとため息をついている。 韓国農水産食品流通公社(aT)花卉事業センターが提供する「週刊取引動向」によると、先月28日から今月3日までの間に販売されたカーネーションは3万8183束(1束=20本)だった。 これは同期間に販売された菊(4万1518束)よりも3000束以上少ない数字で、カーネーションは切り花全体で、バラ・ガーベラ・菊に次ぐ第4位にとどまった。 韓国では5月8日の「父母の日」直前の週に、カーネーションの販売量が菊を下回ったのは関連統計の集計が始まって以来初めて。2020年に初めてバラに1位の座を譲って以降、下落傾向が続いている。 国内最大の規模を誇るソウル市瑞草区の「良才花市場」を4日に取材したところ、販売業者の多くが不況を肌で感じているという。新型コロナの影響で一時的に落ち込んだ花の需要は、5年が経過した現在も回復していないという。 市場で10年以上商売をしてきた店主は「(販売量の減少は)確実に感じる。キム・ヨンラン法(公務員、学校関係者および報道関係者に対する賄賂や接待を禁止する法律)の施行で一度落ち込み、コロナ以降はさらに減った」と話した。 また、子どもの数が減ったことで、カーネーションを贈る人自体が少なくなったとの指摘も。別の店主は「昔は5~6人の子どもたちが皆で贈っていたが、今は1~2人程度だろう。繁忙期にもかかわらず、お客が本当にいない」と語った。 実際、5月8日の「父母の日」を4日後に控えた4日午前9時30分ごろ、花店が約80店舗入居しているヤンジェ花市場の地下商店街には、客の姿はわずか10人ほどだった。 (c)news1

韓流人気バンドのジャカルタ公演、悪天候と運営ミスが直撃…長時間待機で不満爆発

韓国の人気バンド「DAY6(デイシックス)」のワールドツアー・ジャカルタ公演において、悪天候と不十分な現地対応により開演が大幅に遅れ、所属事務所のJYPエンターテインメントが謝罪した。 ジャカルタのGBKマディヤスタジアムで今月3日、DAY6のコンサートが開催された。だが、当初の会場変更に加え、悪天候の影響で大幅に遅延し、観客からは抗議や不満の声が相次いでいた。 JYPエンターテインメントは4日、「現地プロモーターとの運営プロセスが円滑でなく、悪天候の中で現場対応や安全管理が不十分だった。その結果、サウンドチェックおよび本公演の開始が予定より遅れる事態となった」と経緯を説明した。 そのうえで「長時間悪天候の中で開演を待ってくださったファンの皆さまにご迷惑をおかけしたこと、困難な状況の中でもベストを尽くしてくれたアーティストに対しても心よりお詫び申し上げます。今回の事態について当社は深く責任を感じております」と謝罪コメントを発表した。 (c)NEWSIS

日本と北米が「孝行」市場…韓国化粧品大手3社、海外好調で業績に追い風

韓国の化粧品製造大手3社、アモーレパシフィック、LG生活健康、愛敬産業が、2025年1~3月期(第1四半期)の決算で北米と日本を中心とした海外事業の好調だ。近年進めてきた「中国依存脱却」と「グローバルリバランス」戦略の成果が本格化している。 アモーレパシフィックホールディングスは第1四半期、連結売り上げ1兆1648億ウォン、営業利益1289億ウォンを記録。前年同期比で売り上げは15.7%、営業利益は55.2%増加した。 主力のアモーレパシフィックは、北米・欧州・中東市場での売り上げが急増し、海外全体では売り上げが40.5%増の4730億ウォン、営業利益は120.5%増という高い成長率を記録した。中華圏でも収益性の改善により黒字転換を達成した。 LG生活健康は売り上げ1兆6979億ウォン、営業利益1424億ウォンと、前年同期比でそれぞれ1.8%、5.7%の減少となったが、化粧品・生活用品部門の海外売り上げが光った。特に日本ではカラーコスメブランド「CNP」や「ヒンス」「VDL」などが好調で、前年比23.2%の成長を遂げた。北米市場でも回復の兆しを見せている。生活用品(HDB)部門も海外での高価格帯ブランドの販売が伸び、売り上げ・利益ともに前年を上回った。 愛敬産業は売り上げ1511億ウォン(前年同期比10.7%減)、営業利益60億ウォン(同63.3%減)と苦戦したが、日本では新製品投入によってブランド強化が進み、米国でも「AGE20's」や日焼け止め商品が好評を得ている。 3社はいずれも中国市場への依存を減らし、北米・日本・中東など成長ポテンシャルの高い地域に注力する構えだ。 アモーレパシフィックは「集中成長地域におけるパートナーシップ強化と新たなビジネスモデルを通じて、持続的なグローバル成長エンジンを確保していく」と強調している。 LG生活健康は「アマゾンを中心とした北米でのBPCブランドのマーケティング投資を強化し、日本では色物やドクターズコスメに焦点を当てた展開を強化する」という。 愛敬産業も「プレミアム製品による収益性向上」「グローバル化」「成長チャネルへの対応強化」の3大戦略を掲げ、中長期的な成長基盤の構築を目指す方針だ。 (c)news1

韓国・LG生活健康「ザ・フー」…発売22年で累計売り上げ20兆ウォン突破

韓国LG生活健康は1日、自社のラグジュアリー韓方コスメブランド「The History of 后(ザ・フー)」が、発売から22年で累計売り上げ20兆ウォン(約2兆円)を突破したと発表した。韓国国内の化粧品ブランドとして、単一ブランドでの売り上げ20兆ウォン達成は異例だ。 ザ・フーは、2003年2月に「王妃の美容秘法」をモチーフに誕生した最高級の宮廷化粧品として位置づけられている。2014年ごろからは中華圏での韓流ブームと重なり急成長し、海外展開の主力ブランドとしても確固たる地位を築いてきた。 とりわけ中国市場では、「天氣丹」シリーズが圧倒的な人気を集め、ブランド全体の売り上げを牽引してきた。また、国内外で長年にわたり愛されている主力製品「秘貼 自生エッセンス」は2009年10月の発売以来、累計販売数が1000万本を超えている。 LG生活健康の関係者は「ザ・フーは韓国の宮廷文化にインスピレーションを受け、現代的な感性で再解釈したヘリテージ(遺産)を受け継ぎながら、製品の効能と効果をさらに強化する」と述べた。 (c)news1

ソウルの職場を辞め20代で始めた「青年食堂」…10年続けられた秘けつ

「3年だけやってみようと思ったのが、もう10年。最初はお小遣い稼ぎのつもりだったけれど、今は私のブランドになった」 韓国全羅北道全州市の南部市場・青年モールには、わずか5坪ほどの小さな食堂がある。屋外テーブルを含めても、最大で20人ほどしか収容できない。看板メニューはキムチとんかつ鍋。他にも丼物やうどんが人気で、季節ごとに旬の食材を使った新メニューも提供する。 規模は小さいが、食事時にはいつも客で賑わい、長蛇の列ができることもしばしば。今では青年モールを超え、南部市場を代表する食堂の一つとして知られている。 この店の名前は「百寿の膳」。オーナーはチョン・ハンナさん(37)。店名は、友人が手料理をSNSに投稿していたアカウント名から取ったという。 2016年、チョンさんはソウルでの会社勤めを辞め、少し休もうと故郷・全州に戻った。そこで友人から青年モールでの創業を勧められ、競争率34倍という難関を突破して出店した。 「最初は3年だけお小遣い稼ぎのつもりだった。それが気づけば10年。『百寿の膳』という自分のブランドを育てる楽しさと誇りが続ける原動力になっている」 開業当初は予想以上に順調だった。南部市場は韓屋村から近く、観光客が多く訪れる。市場の利用客も多く、月8万ウォン(約8000円)という安い家賃も支えとなった。 また、青年モールの活気ある雰囲気も大きな魅力だった。若い起業家同士が協力し、イベントを企画するなど、共同体としての結びつきが強かった。「芸能人を招いたイベントも自分たちで企画していた。その活気がとても良かった」 しかし、そんな雰囲気も徐々に衰退していった。時が経つにつれ、青年モールは次第に低迷し、特にコロナ禍では客足が激減。大きな危機に直面した。 「お客さんが激減し、空き店舗も増えた。あの時が一番つらかった」 それでも新メニューの開発やSNSでの発信を続け、顧客とのつながりを維持しようと努力した。「支えてくれた常連さんのおかげで乗り越えられた」 今も青年モールの再活性化を願っている。「最近は皆、生き残るのに必死で、共同体としての雰囲気が薄れているのが残念。以前のように各店舗が個性を生かして協力し合えば、もっと良くなるのではと思う」 目標は大きくない。「百寿の膳」はお金儲けのための店ではなく、自分のブランドだ。SNSでの発信を続け、1年前からはオリジナル商品のミールキットも販売開始。少しずつ事業を広げている。 「小さな店だけど、私の名前をかけたブランドだから責任感を持って続けたい。もっと多くの人に知ってもらい、愛される店にしたい」 全州市は2011年、文化体育観光省主催の「門前成市」事業に選ばれ、南部市場2階に青年モールを造成。かつて30店舗以上が入っていたが、現在は18店舗が営業中だ。 (c)news1

日本には「死を準備する人々」がいる [韓国記者コラム]

「おばあちゃん、亡くなったらお墓はどうする?」 10年前、当時20代だった記者は、90歳を迎える祖母に、ふとこう尋ねた。穏やかな午後に飛び出したこの質問に、テレビを見ていた父親の目が丸くなった。ちょうど葬儀をテーマにした小説に夢中だったころで、純粋に祖母の考えを知りたかっただけだった。 祖母は「火葬にして日本が見える釜山の海に撒いてほしい」と答えた。墓地も納骨堂も望まない理由は「家族に負担をかけたくないから」だった。なぜ日本が見える海なのか尋ねると「日本で幼少期を過ごしたから」と語った。 その後、帰り道で父から「ありがとう」と感謝された。普段は無口な父の意外な一言に驚くと、父も祖母の本音を初めて知ったと言った。 今月初め、日本出張でこの古い記憶が何度も蘇った。死を語ることがタブー視される韓国とは違い、日本では「死を準備する文化」が根づいていたからだ。特に高齢者は「自ら」死の準備をしていた。 彼らは銀行に資産を預け、「自分が亡くなったら娘に30%、息子に30%を渡してほしい」と依頼する。これは「遺言代用信託」と呼ばれ、紙の遺言状による相続争いを防ぐために利用者が増えているという。 東京で出会った信託銀行の担当者は「最近、50代の女性4人が一緒に『一人暮らし専用信託』に加入した」と教えてくれた。まだ若い50代から死を準備することにも驚いたが、誰に遺産を残すのか聞くと、返ってきた答えは意外だった。 「誰にも迷惑をかけたくないから」 死後に親族に負担をかけたくないため、資産を管理しているのだという。これこそ、死を事前に考えた者だけが選べる行動だった。 さらに彼らは「どこで、どう死ぬか」まで準備していた。自宅が一番だが、介護してくれる人がいない現実もある。病院には専門スタッフがいるが、できれば施設には入りたくない。そこで日本では、自宅のように自由でありながら看護師も常駐する「サービス付き高齢者向け住宅」の人気が高まっていた。 千葉県浦安市の「銀木犀」で出会った担当者は「亡くなる2日前までベッドでタバコを吸った入居者がいた」と話した。半信半疑で尋ねると、担当者はその本人の最期の映像を見せてくれた。冬枯れた木の枝のように細った老人が、ベッドで娘と介護士に支えられながら、細々とタバコを吸う姿があった。 この老人は「死ぬ直前まで好きなタバコを吸いたい」と語っていたという。病状的には病院に入るべきだったが、禁煙や外出禁止を嫌い、この施設を選んだ。浅く2~3回吸うだけだったが、タバコの火が赤く灯るたび、彼の顔にはかすかな安堵が浮かんだ。 死を避けられないなら、せめて「自分らしく」終えたい――それは死を事前に準備した者だけに許された最後の特権のように見えた。 韓国も今年、高齢化率が20%を超える「超高齢社会」に突入した。日本のように遺言代用信託やサービス付き高齢者住宅が少しずつ登場しているが、まだ反応は鈍い。今回の出張は、それらのサービスが実際にどう運営されているか確かめるためでもあった。 感じたのは、問題は技術ではなく「文化」だということだ。いくら良い木があっても、適した土壌がなければ育たない。日本で成功している超高齢化関連ビジネスも、韓国で「死を準備する文化」がなければ根付くのは難しいだろう。 まず、すべきは「死を準備する文化」を作ることではないか。文化が根づけば、関連産業も自然に育つ。日本では葬儀場を巡る「エンディングバスツアー」や、海に散骨する「海洋葬」などが急速に広がっている。 祖母に葬儀について尋ねた日から、もう10年が経った。この間、私は少し大人になった。そして今では、あの日のように気軽に質問できない自分がいる。それでも、次に故郷に帰ったら勇気を出して、また祖母に聞いてみようと思う。まだ聞きたいことがたくさん残っているからだ。【news1 キム・グヌク記者】 (c)news1
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