
韓国で児童虐待の通報が毎年増える一方、対応にあたる担当公務員の業務負担が限界に近づいている。1人が年間最大118件を担当する地域もあり、人員拡充と処遇改善を求める声が上がっている。
ソウルのある自治体で児童虐待対応を担う公務員は「業務は俗に言えばかなりきつい。敬遠される仕事でもある。それでも必要な仕事だ」と話す。この自治体では担当公務員の数に比べて通報件数が多く、1人あたり80件ほどを受け持っているという。
児童虐待担当公務員は2025年6月時点で韓国全土に892人いる。保健福祉省の発表では、1人あたりの年間平均担当件数は51件だが、自治体別では25件から多いところで118件まで差がある。
問題は、通報の増加に人員が追いついていない点だ。保健福祉省の「2024児童虐待年次報告書」によると、2024年の児童虐待通報は5万242件で、2020年の4万2251件より約19%増えた。このうち実際の調査対象となる疑い事例は4万7096件に上った。
地域別では、担当公務員の負担が保健福祉省の推奨基準である「1人あたり50件」を大きく上回っていた。ナム・インスン韓国与党「共に民主党」議員室が保健福祉省から提出を受けた資料では、世宗が1人あたり79.5件で最も多く、大田が72.7件、京畿が68.5件で基準を超えた。
ソウルの担当公務員は「2025年下半期に担当公務員が1人増える前は、1人あたり100件ほどを抱えていたと思う」とし、「1件を処理するのに2、3回以上訪問することが多く、一度で終わるわけではない」と説明した。
さらに「調査の過程で『告訴する』とか、苦情を申し立てるといった反発も少なくなく、精神的な負担が大きい。警察には捜査権があるが、担当公務員には調査権限しかないため、『何の権限で調査するのか』と拒まれることもある」と訴えた。
ソウルの別の自治体の児童虐待専門官も「実際に担当する疑い事例は70~80件程度で、多い時は100件以上を管理したこともある」とし、「調査からケース管理、裁判所への同行まで1人がすべて担う構造は、物理的に耐え難い水準だ」と指摘した。
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