
韓国サムスンのオーナー一家が、故イ・ゴンヒ(李健熙)先代会長の遺産に対する相続税12兆ウォン(約1兆3200億円)をすべて納付し、韓国財界最大規模の「ノブレス・オブリージュ」(高い地位には義務が伴う)を実践した。
巨額の税金納付に加え、医療・文化分野での社会還元にもつながり、企業の社会的責任を示した代表的な事例と評価されている。
サムスン電子によると、イ・ジェヨン(李在鎔)サムスン電子会長、ホン・ラヒ(洪羅喜)リウム美術館名誉館長、イ・ブジン(李富真)ホテル新羅社長、イ・ソヒョン(李敍顕)サムスン物産社長ら遺族は、2021年の相続税申告以降、年賦延納方式で税金を分割納付してきた。2026年の最後の納付を終え、計6回にわたる相続税の納付を完了した。
故イ・ゴンヒ先代会長は2014年に心筋梗塞で倒れ、療養生活を続けた後、2020年10月に死去した。当時、関係会社の持ち分や不動産などを含め約26兆ウォン(約2兆8600億円)の遺産を残し、これに伴う相続税は約12兆ウォン(約1兆3200億円)と推算された。
故人の配偶者であるホン・ラヒ名誉館長の相続税が3兆1000億ウォン(約3410億円)で最も多く、イ・ジェヨン会長は2兆9000億ウォン(約3190億円)、イ・ブジン・ホテル新羅社長は2兆6000億ウォン(約2860億円)、イ・ソヒョン・サムスン物産社長は2兆4000億ウォン(約2640億円)だった。これは2024年の韓国の相続税税収8兆2000億ウォン(約9020億円)を大きく上回る規模で、韓国内はもちろん、世界的にも異例とされる。
遺族は相続税申告当時、「税金の納付は国民の当然の義務」と表明し、法と原則に従って納付を続けてきた。これについて、サムスンがグローバル企業に成長する過程で蓄積した富を社会に還元する代表例だとの評価が出ている。
遺族による社会還元は、国家の保健医療能力の強化にもつながっている。2021年には国立中央医療院に7000億ウォン(約770億円)を拠出し、「感染症克服支援事業」を進めている。資金は感染症専門病院の建設や研究インフラの拡充に投じられている。
このうち5000億ウォン(約550億円)は、2030年にソウル市中区に建設される中央感染症病院の建設と先端設備の構築に使われ、残りは臨床研究インフラの拡充やワクチン・治療薬開発基盤の整備に充てられる。同病院は診療だけでなく、教育・訓練、高リスク感染症研究まで担う国家中核拠点として造成される予定だ。
これは生前、「人類の健康と生活の質を高めることが企業の使命」と強調していた故人の哲学を反映した決定と評価されている。
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