
米マイクロソフト(MS)は15日、生成AI(人工知能)の普及がもたらす働き方の変化をまとめた年次報告書「2026年業務動向指標」を発表した。AIが単なる補助ツールを超え、人間やシステムと結合して業務に直接関与する「AIエージェント」の時代が到来する中、技術を導入するスピードに組織の体制が追いついていない「組織の逆説」が生じていると指摘。特に韓国市場において、技術に取り残されることへの個人の焦りと、企業の支援体制の遅れとのギャップが顕著になっている実態が浮かび上がった。
報告書によると、個人はAI活用に意欲的であるものの、組織の文化や管理職のサポート、成果評価などの環境整備が追いついておらず、これがボトルネックになっているという。特にこの傾向が強い韓国市場では、労働者の78%が「AIに適応できなければ取り残される不安がある」と回答し、世界平均の68%を大きく上回った。しかし組織側の対応をみると、「リーダーシップの明確な意志」を感じている割合は韓国が16%(世界平均26%)にとどまり、「AI活用への報酬認識」も韓国は7%(同13%)と、いずれも世界平均を大きく下回る結果となった。個人の危機感に対し、経営陣や組織の意識改革が遅れている実態が浮き彫りになっている。
一方で、AI活用の効果は着実に表れている。調査では、世界のAI利用者の66%が「高付加価値な業務に時間を使えるようになった」と回答し、58%が「1年前には難しかった水準の成果を出している」とした。韓国でも54%が成果の向上を認めている。韓国MSのオ・ソンミ総括チーム長は「AIとの協働による成果は、AIの実行力と人間の判断力の組み合わせで決まる。人の判断力こそが、AIの効果を最大化する鍵だ」と指摘する。
また、韓国MSのチョ・ウォンウ代表は「AI活用の勝負どころは技術そのものではなく、社員の判断力、リーダーの方向性、そして組織の学習システムにかかっている」と強調。単なる技術の導入にとどまらず、評価制度の再設計や業務プロセスの根本的な見直しが必要だと提言した。
今回の報告書は、AIを業務に活用している世界10市場のナレッジワーカー(知識労働者)2万人を対象とした調査や、数兆件に上る「マイクロソフト365」の匿名化データ、専門家の分析などを総合して作成された。
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