
北朝鮮が20日にクラスター弾頭を載せて試験発射した短距離弾道ミサイル(SRBM)「火星11ラ」は、韓国向け攻撃を担う前方軍団の戦力強化を意味すると同時に、「核兵器と通常兵器」の同時開発という並進路線を誇示したものだとの分析が出た。
韓国統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室上席研究委員は24日に公表した報告書で、今回の試験発射の戦術的意味を理解するには、まずこのミサイルの射程「136キロ」がどの程度の範囲を含むのかを見る必要があると指摘した。
北朝鮮は今回の試験発射に、前方軍団である第1、第2、第4、第5軍団の軍団長を全員立ち会わせた。これは、このミサイルが前方軍団によって運用される対韓国用兵器であることを示唆しており、射程の評価は韓国の安全保障と直結する問題だという。
ホン・ミン上席研究委員によると、西部戦線の開城・海州方面を担当する第4軍団から136キロの範囲には、ソウル首都圏の全域が入る。とくに在韓米軍司令部のある平沢キャンプ・ハンフリーズ(約100~110キロ)、烏山空軍基地(約90キロ)、さらに天安、牙山一帯も含まれる。
中部戦線の鉄原・平康方面を担当する第2軍団から発射した場合は、首都圏全域に加え、水原、利川、驪州一帯や京畿道南部の主要産業地帯も射程内に入る。中東部・東部戦線を担う第1、第5軍団では、春川、洪川、原州、江陵、襄陽が射程内となり、原州の第1軍団司令部級の指揮施設も含まれる。
ホン・ミン上席研究委員は、この打撃圏が、北朝鮮がすでに保有する射程40~400キロ級の多連装ロケット砲と、射程400~600キロ級の短距離弾道ミサイル「火星11ガ」「火星11ナ」「火星11ダ」の間の空白を埋める意味を持つとみている。
さらに今回の「火星11ラ」試験発射は、北朝鮮が4年かけて進めてきた前方軍団用戦術弾道ミサイル体系の実戦化段階を示したとも分析した。「火星11ラ」は、2022年4月の初公開、同月の編制露出、2023年3月の運用部隊および戦術核搭載対象の指定、2024年5月の誘導精密化、同年8月の実戦配備と大量公開、そして2026年4月の弾頭多様化を経て、開発と配備が一段落した状態だという。
また、前方の第1、第2、第4、第5軍団長全員が今回の試験を見守った点について、「火星11ラ」が戦略軍やミサイル総局の資産ではなく、軍団固有の火力として編入されたことを示す制度的なシグナルだと解釈した。高精度誘導弾道ミサイルが前方軍団の資産へ再編されたことで、今後は軍団長の指揮の下で弾道ミサイル射撃が可能になったという見方である。
ホン・ミン上席研究委員は「火星11ラ」は戦術核と通常弾頭の両方を使える「二重用途プラットフォーム」だという点でも、北朝鮮が追求する核兵器と通常兵器の同時開発という並進政策を象徴する兵器だと評価した。
北朝鮮は2023年3月、キム・ジョンウン総書記が核兵器の兵器化事業を視察した現場で、「火山31」と呼ばれる核弾頭、または核カートリッジを初めて公開した。この時、「火山31」を搭載できるミサイル一覧の案内板も確認され、その中に「火星11ラ」も含まれていた。
さらに最近の試験発射で、「火星11ラ」に通常弾頭であるクラスター弾と破片地雷弾頭を載せたという北朝鮮の主張が事実なら、「火星11ラ」は核弾頭と通常弾頭をともに搭載できる汎用ミサイルとして機能することになる。
北朝鮮は最近の報道で「高精密打撃」と「高密度制圧打撃」という二つの概念も使った。ホン・ミン上席研究委員は、これは韓米の防衛ドクトリンとの非対称性を際立たせる狙いがある可能性が高いとみている。「高精密打撃」は指揮所、レーダー、格納庫など点の目標を正確に破壊する概念である一方、「高密度制圧打撃」は広い面の目標に損害を与え、機動や防御そのものを無力化する考え方だという。
韓米のミサイル防衛システムは、点目標への精密迎撃に最適化されている。北朝鮮が一発の弾頭で広範囲に被害を及ぼせるクラスター弾頭などを使い、面制圧能力を高めた場合、迎撃の優先順位を決めるうえで支障が出る可能性がある。どのミサイルにどの弾頭が載っているのかは、発射後に正確に見極めにくいためだ。
ホン・ミン上席研究委員は、北朝鮮が最近のミサイル試験発射を通じ、単一のミサイル体系の中で弾頭を選び替えるだけで「破壊・封鎖・精密打撃」の全過程を実現できると誇示したように見えると説明した。
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