2026 年 7月 4日 (土)
ホーム社会「記事の一行では終わらない」…韓国・高架道路事故で父を失った薬剤師YouTuber、葬儀までの記録を公開

「記事の一行では終わらない」…韓国・高架道路事故で父を失った薬剤師YouTuber、葬儀までの記録を公開

YouTubeより(c)news1

ソウル市の西小門高架道路撤去現場で発生した崩落事故で父親を亡くした薬剤師でユーチューバーの「ヤクピュ」さんが、事故当日から葬儀に至るまでの凄惨な記録を動画で公開し、大きな反響を呼んでいる。突発的な労災事故が遺族にもたらす計り知れない苦痛と、被害者の生きた証しが「死者数」という無機質な数字でのみ報道される現状への問題提起に、多くの共感が寄せられている。

◇突然の悲報、阻まれる遺品整理

済州島で薬局を営むヤクピュさんが、作業服姿で働く普段通りの日常の中で母親からの急報を受け取ったのは今月のある日の午後3時ごろだった。搬送先の病院から至急向かうよう促され、急きょ航空便を手配したものの、済州島を出発する前の午後5時には「死亡した」との連絡が入った。当時、スマートフォンのニュースで事故の速報を検索し続け、死亡者の現況に「60代1人」とあるのを見て、父親の死を確信したという。

突然の悲劇の最中であっても、預かった処方薬の受け渡しなど薬局の業務を整理せねばならず、一人ずつ患者に連絡を終えてから空港へ向かった。旅行客で賑わう空港で一人涙を流したと振り返る。

遺族は葬儀の準備段階でも予期せぬ困難に直面した。事故の衝撃で父親のスマートフォンが激しく破損したため連絡先が分からず、パソコンもパスワードが不明で訃報を関係者に送れなかった。メーカーのサービスセンターでは復旧不可能と診断されたが、最終的に民間の修理業者の手で画面を交換し、ようやく連絡網を確保できた。

また、労災事故死であるため司法解剖の手続きが必要となり、葬儀の開始自体が遅れるなど、遺族は行政手続きの間も悲しみと向き合い続けることを余儀なくされた。遺影として使用されたのは画質の粗い写真だったが、これもスマートフォンの破損により生前の鮮明な画像が見つからなかったためだという。

◇記号化される犠牲者

ヤクピュさんが最も深く傷ついたのは、メディアによる事故報道のあり方だった。当時の多くの記事には「死者何人、負傷者何人」という数字のほか、「60代の監理団長が死亡」というわずか一行の事実のみが記録されていた。ヤクピュさんは「私たちにとっては深く尊敬し、愛していた父親であり、そのような一行の記号で片付けられていい存在ではなかった」と語る。

動画の投稿は、自身の近況を伝えるために始めたユーチューブの一番の視聴者であり、誰よりも活動を応援してくれた父親の死を、ただの統計数字に終わらせたくないという思いからだった。

一方、ヤクピュさんは私生活でも過酷な状況に直面している。最近、全財産を投じて済州島に薬局を開業したばかりだったが、わずか2カ月で上階の医療機関が閉院の上で移転し、経営危機に陥った。さらに、薬局の権利金として3億6000万ウォン(約4000万円)を受け取った前任の薬剤師が、連絡を絶って失踪したとされる詐欺疑惑も浮上している。

高架道路の撤去現場で監理団長として職務中に命を落とした父親の遺志を継ぎ、生業の危機と遺族としての悲痛な現実を同時に背負いながら、懸命に生きる姿で応えたいと決意を語っている。

(c)news1

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