
韓国政府が公共改革の一環として空港関連公企業の統合を検討し、空港運営体制の再編をめぐる議論が本格化している。政府の構想は、仁川(インチョン)空港公社、韓国空港公社、加徳島(カドクト)新空港建設公団を一つの公企業に統合するというものだ。
統合推進の名分は、機能の重複解消と運営効率の向上にある。組織を一元化すれば重複業務を減らし、協業と調整を強めて行政効率を高められる。運営費の削減効果も期待できる。
ただ、統合をめぐる現場の見方は分かれる。特に仁川空港の収益構造が地方空港や新空港建設に活用される可能性がある点に、懸念が強い。
実際、二つの機関は出発点から異なる。仁川空港は当初、韓国空港公社の体制で運営される計画だったが、ハブ空港育成と役割分担の必要性から、1999年に別法人として分離された。その後、20年以上にわたり独立して運営されてきた。
こうした背景のなか、労組間の立場も鮮明に分かれる。韓国空港公社側は統合に前向きだが、仁川空港公社側は反対の姿勢を明確にしている。韓国空港公社労組は「ハブ空港中心の政策で仁川空港は急速に成長したが、地方空港は構造的な限界が深まった」と主張する。一方、仁川空港公社労組は「政策失敗で生じた地方空港の赤字と新空港の負担を仁川空港に転嫁するものだ」と反発している。
数字を見れば、こうした懸念は単なる取り越し苦労とは言い切れない。仁川空港公社は2025年、売上高2兆9684億ウォン、営業利益8667億ウォン、純利益6944億ウォンを記録し、安定した黒字を出した。一方、韓国空港公社は売上高9768億ウォンにもかかわらず、552億ウォンの純損失を記録した。ここに約10兆7000億ウォンが投じられる加徳島新空港建設事業まで加われば、統合時に財務負担が仁川空港へ集中しかねないとの指摘が出ている。
専門家は、より根本的な問題を指摘する。地方空港の慢性的な赤字と需要不足は、短期間で生じた問題ではない。需要検証なしに進められた空港建設政策が積み重なった結果だという見方だ。こうした状況で運営主体だけを統合すれば、構造的な問題が繰り返される可能性が大きいとの懸念もある。
最大の懸念は、グローバル競争力だ。仁川空港は世界3位水準のハブ空港と評価され、チャンギ空港やスキポール空港などと競争している。こうした競争構図のなかでは、継続的な大規模投資とサービス改善が欠かせない。
しかし、統合後に仁川空港の収益が地方空港の赤字補填に使われれば、投資余力が弱まり、結果として国際競争力が低下しかねないとの指摘が出ている。
結局のところ、核心は統合後も好循環の投資構造を維持できるかどうかにある。単なる組織統合ではなく、空港ごとの役割と需要を精密に再設計する作業が先に進まなければ、むしろ国全体の航空競争力を弱める可能性がある。より慎重なアプローチが必要だ。【NEWSIS ホン・チャンソン記者】
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