
人工知能(AI)が既存のサイバーセキュリティーの枠組みを揺るがすとされる「ミュトス(mythos)ショック」を受け、韓国政府が対応に乗り出している。米アンソロピックのAIモデル「クロード・ミュトス」へのアクセス確保に向け、関連プロジェクトへの参加を模索している。
科学技術情報通信省は、ミュトスに限定的アクセスが可能な「プロジェクト・グラスウィング」への参加を打診中だ。同省幹部も企業側と接触を続けていると明らかにした。
ミュトスは、自律的に脆弱性を見つけ侵入経路を設計できるとされるAIで、複雑なソフト構造を専門家水準で分析する能力が特徴とされる。アンソロピックはこのモデルを一般公開せず、52の機関に限定提供しながら安全性検証を進めている。
同社は、簡単な命令だけで安全性が高いとされるOSから古いバグを発見した事例を示し、性能を強調した。これにより金融インフラなどへの影響を懸念する声が広がり、韓国でも金融監督院が金融機関を招集し、政府全体で緊急点検が進められている。
政府は、重要インフラの監視強化や脆弱性対応の優先順位付けを進めるほか、AI安全研究所を中心に国際協力への参加も検討している。
一方で米国では、ミュトスの脅威をめぐり「恐怖マーケティング」との批判も出ている。初期利用者の一部は、人間の専門家を超える水準ではないと評価し、危険性が誇張されている可能性を指摘した。
「AIのゴッドファーザー」と呼ばれるヤン・ルカン氏は、ミュトスをめぐる議論を「誇張されたもの」と批判。さらにサム・アルトマン氏も、恐怖をあおるマーケティング戦略だとして疑問を呈した。
AIの安全保障を巡る評価が分かれる中、各国政府は対応を急いでいる。
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