2024 年 5月 4日 (土)
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[KWレポート] カカオペイvsカカオバンク…内戦の結末(4)

カカオペイ、簡単決済のネイバー・フィナンシャルとの対決

©MONEY TODAY

韓国のモバイル決済アプリ最大手のカカオペイと、インターネット金融のカカオバンク。会話アプリのカカオ(kakao)の「フィンテック兄弟」と呼ばれる両社ですが、株式上場前には激しい神経戦を繰り広げました。その舞台裏に迫りました。(最終回)

カカオペイが11月3日、簡易決済を基盤にしたオンライン金融システムサービス企業として、初めて有価証券市場に名を連ねた。IT大手企業グループのライバルであり、簡単決済金融システムのライバルでもあるネイバー・フィナンシャル(NAVER FINANCIAL)との対決で、一歩リードするきっかけになるとみられる。

カカオペイは2014年9月、国内では初めて簡易決済サービスを開始した。送金、請求書認証、資産管理、貸出、保険など金融会社との連携サービスなどを搭載している。

6月末時点での累積加入者数は3650万人に達する。月間利用者数(MAU)は2000万人に迫る。この12カ月間の取引高は85兆ウォン(約8兆1900億円)もある。業績も右肩上がりのカーブを描いた。売上でも2018年の695億ウォン(約67億円)から2019年は1411億ウォン(約136億円)、2020年は2844億ウォン(約274億円)を記録した。今年上半期だけでも2163億ウォン(約209億円)と、昨年の売上に迫っている。2018年には1000億ウォン(約96億円)弱あった営業損失も徐々に減らし、今年上半期は26億ウォン(約2億5100万円)の営業利益を計上するなど、年間での黒字転換が見込まれている。

主力の簡単決済のほか、カカオペイが力を入れている金融サービス分野にも勢いがある。売上は2018年の1億ウォン(約964万円)台から、2019年には33億4900万ウォン(約3億2292万円)、2020年は644億4900万ウォン(約62億1436万円)に急増した。今年9月に金融消費者保護法が問題となり、多少は停滞したものの、金融当局との調整を経て安定した形だ。

簡易決済金融システムライバルのネイバーペイ(NAVER Pay)を前面に出したネイバー・フィナンシャルが追い上げているが、カカオペイの優位は変わらない。ネイバーペイの場合、加入者数は約3000万人、利用者数は1400万人、取引額は2020年基準で約26兆ウォン(約2兆5069億円)。

◇戦略の大きな違い

このように、カカオペイがネイバーをしのぐ成長を遂げたのは、戦略の違いが大きかったという分析がある。

規制回避の戦略を取ってきたネイバー・フィナンシャルと違い、カカオペイは証券会社を買収し、デジタル損害保険業のライセンスを取るなど、「受ける規制」は受けつつ、金融業界に足を踏み入れた。金融会社が「傾いてしまった運動場」と批判するほど、大きなIT企業に与えられた制度的特恵を享受するのではなく、正攻法でライセンスを獲得し、長期的な観点で接近した。

カカオペイは、カカオバンクの口座を活用するほか、証券業への進出で顧客に独自の口座を開設できるため、「トータルバンキング」を担える基盤を整えた。総合支給決済事業の許容を柱とする電子金融法の改正案が持ち越され、ネイバーフィナンシャルとの競争で、決定的な優位を確保したのである。

カカオペイは、上場を通じて天文学的な資金を市場で調達し、金融事業をさらにアップグレードさせる土台を作る。

金融業界のある関係者はカカオペイ、ネイバー・フィナンシャルを「情報通信技術を基盤に本物の金融会社になろうとする会社と、真似しようとする会社」とみる。「ネイバー・フィナンシャルは、ライセンスを取得するには既に時遅く、既存の戦略を固守すればするほど、ますます格差が広がるという葛藤に陥った」という厳しい見方を示している。

(おわり)

「カカオペイvsカカオバンク…内戦の結末」はMONEY TODAYのカン・ミンス、キム・セグァン、イ・ヨンアンの各記者が取材しました。

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