2024 年 5月 5日 (日)
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[KWレポート] カカオペイvsカカオバンク…内戦の結末(2)

主導権争いの火種

カカオバンクの顧客センター©NEWSIS

韓国のモバイル決済アプリ最大手のカカオペイと、インターネット金融のカカオバンク。会話アプリのカカオ(kakao)の「フィンテック兄弟」と呼ばれる両社ですが、株式上場前には激しい神経戦を繰り広げました。その舞台裏に迫りました。(シリーズ2/計4回)

両社は韓国金融当局の政策に対しても、当初から違いがあった。

カカオバンクがIT企業系列であるとはいえ、都市銀行の利益を代弁するのは依然、銀行連合会の会員企業である。一方のカカオペイは保険代理店、証券、デジタル損害保険など既存の金融業ライセンスを取得し、業界に足を踏み入れた。ITを基礎としたオンライン簡易決済金融システム業でもある。

都市銀行をはじめとした従来の金融界やIT企業が、電子金融取引法改正案と新規貸出金融システムへの転換で対立する局面で、カカオバンクは銀行の立場により近かった。だが、カカオペイはIT企業としての利益を反映しなければならない立場にある。

カカオ内部に精通したある関係者は「どちらが先に上場するかをめぐって、カカオペイとカカオバンクが激論を交わしたように、銀行とIT業界の衝突は、カカオの金融グループ内でも起こり得る」とみる。

◇リュ・ヨンジュンvsユン・ホヨン…カカオの金融リーダーはどちら?

カカオペイとカカオバンクの競争は、両社の最高経営者(CEO)間の競争でもある。

カカオペイのリュ・ヨンジュン社長とカカオバンクのユン・ホヨン社長は、ともに「最高の総合金融システムになる」と宣言している。金融業界の中での境界が崩れる状況で、2人の社長が対抗する場も幅広く重なり、売上と営業利益、時価総額などでゼロサムゲームになり得る。勝者がカカオグループの金融リーダーになる見通しだ。

リュ社長はカカオペイを担当する以前は金融業とは接点がなかった。保険会社出身のユン社長も銀行業務を手掛けたことはない。しかし、2人とも「IT企業」の代表としての力量を着々と固めてきたという評価を受けている。

リュ社長はコンピューター工学を専攻し、小さなモバイル会社で社会人としての生活を始めた。サムスンSDSを経てカカオに移り、「ボイストーク」を開発した。

そのプロフィールは電子金融会社のカカオペイにとって異質なものだ。だが、リュ社長には社会人になった時から「技術で世の中を変える」という考えがあり、「カカオペイは金融システム業ではなくIT企業だ」と強調する。つまり、金融に技術を加えるのではなく、技術で金融を変える――ということだ。

カカオのペイメント事業部本部長を務めていた2014年、モバイル簡易決済サービス「カカオペイ」を開始した。その後、カカオペイはカカオの子会社に分離され、リュ氏は2017年、社長に就任した。自身の指揮の下で、カカオペイは決済・送金だけでなく、保険・投資・貸出仲介・資産管理まで含めた生活金融システムに進化した。

一方、カカオバンクを率いるユン社長の初めての職場は「大韓火災」だった。2003年には保険プランナーや代理店を通さずに、オンラインで直接、保険を販売する「ダウム(Daum)ダイレクト」の設立に参加し、事業を推進した。金融とITを結び付けた、ユン社長の初の経験だった。

2014年のダウムとカカオの合併後は、カカオ内のモバイルバンクTFT(タスクフォースチーム)でカカオバンクの設立を推進した。当時、ユン社長は「カカオバンクが情報通信技術(ICT)を中心にした銀行を明確に目指す」と明らかにしていた。ICTの脈絡を基盤にモバイル中心のサービス戦略を樹立し、これを通じてカカオバンクは金融モバイルアプリ部門で月間利用者数(MAU)1位を記録する企業に成長した。

(つづく)

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