2025 年 6月 27日 (金)
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北朝鮮が「戦略的沈黙」選択…対米・対韓メッセージなき異例の朝鮮労働党重要会議

2025年6月24日付朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(c)KOREA WAVE

北朝鮮が6月21日から23日まで開催した朝鮮労働党中央委員会第8期第12回総会(全員会議)について、24日に発表された報道内容は、過去数年に比べて極めて控えめなものであった。米国と韓国の政権交代後初めて開かれた今回の全員会議では、対南・対米メッセージが一切含まれず、専門家は、北朝鮮が国際情勢の不確実性を意識した「戦略的沈黙」を選んだと見ている。

会議では、政治・経済・文化・科学・教育・国防の各分野における上半期の成果が報告されたと伝えられたが、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の演説全文や要約は公開されなかった。労働新聞は全6面中わずか2面で関連内容を報じるにとどまり、これは2021年以降の上半期総括報道として最も少ない分量だ。

背景には、2025年1月にトランプ氏が米大統領に復帰し、6月4日にイ・ジェミョン(李在明)氏が韓国大統領に就任するという、朝鮮半島をめぐる対外環境の大きな変化がある。トランプ氏は北朝鮮との対話に意欲を見せ、イ・ジェミョン政権も南北対話と緊張緩和を掲げており、すでに対北朝鮮拡声器放送の中止など実質的措置を講じている。

しかし、北朝鮮としては軽々に政策転換を示すことは難しい。特に、米国が対イラン政策で対話中にも空爆し、核関連施設を攻撃したことなどを受け、「米国の信頼性」に対する警戒感が根強い。

韓国に対しても、2023年末の全員会議で採択された「二国家方針」により「民族」「統一」といった概念を政策から削除しており、イ・ジェミョン政権の融和的対応にすぐ呼応することは難しい状況だとみられる。

一方で、イ・ジェミョン政権が民間団体による対北朝鮮ビラ散布を統制し、拡声器放送を停止したことに対し、北朝鮮も大音量放送を中止するなど、緊張緩和の兆しもみられる。6月12日の新型駆逐艦進水式ではキム総書記の好戦的な発言も見られなかった。

北朝鮮は2021年に設定された経済・国防5カ年計画の最終年にあり、同時に「密着」関係を築いているロシアとの関係強化に注力する構えも見せている。今回の全員会議では、2026年からの国家運営方針を決定する第9回党大会の開催が決定された。年末から来年初頭の開催が見込まれ、ここで新たな対外政策の方針が公表される可能性が高い。

韓国統一省は「韓米の対北政策が確定しておらず、ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・イラン戦争など国際情勢が流動的であることを踏まえた対応」と述べ、今後の党大会メッセージに注視する考えを示した。

また、慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮は現在の国際情勢を見極めつつ、過剰な緊張を避け、ロシアとの関係維持に力を注ぎながら内部目標の達成に集中する戦略を取っている」と分析した。

(c)news1

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