新たな成長分野は代替食品とハンバーガー――韓国・新世界フードのソン・ヒョンソク代表が重視するのはこの二つだ。ソン代表の就任後、業績不振だった同社は上向きになり、スムージーキングなど赤字事業の整理を進めている。一方で、代替食品ブランド「You are What you Eat」を中心に植物性食品の開発・販売に注力し、外食産業では「ノーブランドバーガー」を成長させ、競争力を高めている。
ソン代表は同社初の外部出身リーダーで、マクドナルドのマーケティングチーム長、ピザハットコリアのマーケティング統括役員、OBビールのマーケティング統括副社長などを経験した。2018年に新世界フードのマーケティング担当役員として加わり、2021年、代表に就任した。
ソン代表の就任前、新世界フードは業績不振に苦しんでいた。就任直前の2020年には、連結基準で売上高が1兆2403億ウォンで、前年(1兆3201億ウォン)比6.1%減だった。同期間の営業利益は65.1%減少し、77億ウォンを記録。220億ウォンの純損失で赤字に転落した。
赤字の原因として、子会社の「スムージーキングコリア」が指摘された。2015年に新世界フードが買収した後、スムージーキングは一度も営業利益を上げたことがなく、売上も2021年の82億ウォンから2022年には67億ウォン、昨年は61億ウォンと毎年減少した。同期間、店舗数も305店から169店に減少している。
ソン代表が赤字事業を整理し、企業の体質改善に乗り出したのは、チョン・ヨンジン会長の体制が始まってからである。チョン会長は昨年末のあいさつの中で「経営意思決定に収益性が中心となるべきだ」と強調した。
この方針に従い、新世界フードは今年1月に、プレミアムシーフードレストラン「ボノボノ」をブラウンF&Bに売却した。2006年にソウル・三成洞(サムソンドン)に1号店をオープンして以来、約17年で事業を完全に終了することになった。
スムージーキングコリアの営業も終了する。来年10月8日から米国本社との韓国内スムージーキング事業権が終了するため、フランチャイズ事業の継続が不可能になる。それに伴い、フランチャイズ契約も同日をもって終了し、国内でのスムージーキング事業は完全に終了する。
◇代替食品ブランド「You are What you Eat」
一方、新たな成長分野として、大豆肉などの代替食品産業を選択した。昨年9月に立ち上げた代替食品ブランド「You are What you Eat」を中心に、食品製造業の売上拡大を図る。
新世界フードは最近、大韓航空C&Dサービスと植物性機内食の開発および供給拡大に向けた業務協定(MOU)を締結した。この協定により、両社は機内食に植物性メニューを提供するための協力体制を構築した。
今後、新世界フードは植物性機内食に適した代替食品を開発し、韓国料理、中華料理、西洋料理などに最適化したメニューを提案する予定である。
また、10月27日まで「カフェ ライスベースド」を実施している。ソウル・聖水洞(ソンスドン)にある有名カフェ8店で、「ライスベースド」を使ったドリンクやデザートなど14種類のメニューを楽しめるイベントだ。「ライスベースド」は、新世界フードが国産米粉や玄米油など100%植物性原料を使って作った植物性飲料だ。これにより、若年層に植物性飲料やチーズなどに対するポジティブな体験を提供し、ブランド「You are What you Eat」を広める。
外食産業では「ノーブランドバーガー」を成長させている。「ノーブランドバーガー」は2019年、コストパフォーマンスを重視して、新世界フードが運営していた外食ブランド「バーガープラント」の名称を変更してリニューアルしたものだ。今年第3四半期には12のフランチャイズ店舗をオープンし、現在約260店舗を運営している。
新世界フードの関係者は「B2C部門の成長に力を入れている。海外の有名ハンバーガーブランドが進出して競争が激化しているが、ノーブランドバーガーはコストパフォーマンスの良いハンバーガーとして、これらとは異なる市場をターゲットにしている」と述べた。
さらに「ハンバーガー市場は厳しい状況だが、無理にフランチャイズ店舗を増やさず、着実に成長している。代替食品ブランド『You are What you Eat』は、新たな成長エンジンとして育成中であり、消費者にとってなじみの薄い代替食品を広めることに重点を置いてマーケティングを展開している」と説明した。
韓国金融監督院によると、新世界フードの今年上半期の売上高は7758億ウォンで、前年同期(7193億ウォン)比7.9%増となった。同期間の営業利益と純利益はそれぞれ13.9%、26.2%増加した。
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