2026 年 6月 23日 (火)
ホームライフスタイル「政治の泥仕合は見たくない」W杯に熱狂する韓国の市民、チキン注文は875%激増…社会の疲労を癒やす“W杯特需”の舞台裏

「政治の泥仕合は見たくない」W杯に熱狂する韓国の市民、チキン注文は875%激増…社会の疲労を癒やす“W杯特需”の舞台裏

京畿道水原市長安区のスターフィールド水原で、W杯の韓国戦の生中継を見ながら応援する市民ら(c)MONEYTODAY

「政治ニュースを見るのが嫌で、サッカーの映像ばかり探しています」

30代の会社員男性は、韓国代表のグループリーグ・チェコ戦があった12日以降、退勤時にYouTubeやSNSでワールドカップの映像ばかり見ている。もともとは大きな関心がなかったワールドカップが、いつの間にか日常の楽しみになった。19日にはメキシコ戦をリアルタイムで観戦するため、有給休暇まで取得した。

地方選挙の後に相次ぐ政治記事に疲れを感じた市民の関心が「2026 FIFAワールドカップ」に向いている。陣営間の対立が続く政治問題とは異なり、ワールドカップは皆が一つの気持ちで応援し、楽しめる点で大衆の没入を引き出しているとみられる。

男性は「チェコ戦当日の出勤途中、赤い服を着て応援に行く人たちを見ても特に関心は湧かなかった。ところが昼休みに同僚と一緒に試合を見て話しているうちに面白くなった。ゴールが入るたびにしびれた」と振り返る。続けて「地方選挙の記事を2週間以上見て、精神的な疲労感が大きかった。今は他国の試合のハイライト映像まで見る。よく知らなかった海外選手が活躍するのを見る面白さがあり、SNSもフォローした」と話した。

現在、地方選挙の投票用紙不足問題による開票所封鎖デモが続くなど余波が大きい状況でも、オンライン上ではワールドカップが話題の中心に浮上している。ネイバーのデータラボによると、ワールドカップ関連の検索量指数はチェコ戦が開かれた12日に最高値の100を記録した後、一時減少したものの再び上昇を続けている。

YouTubeでも関心の移動ははっきりと表れた。グーグルトレンドのYouTube検索データを見ると、選挙関連の検索量に対するワールドカップ関連の検索量は、11日時点で11倍だったものがチェコ戦当日には50倍に広がった。キーワード分析プラットフォーム「ブラックキウィ」でも、18日までのワールドカップ関連検索量が前月比2407.78%急増し、大衆の関心が急速に移ったことを示した。

在宅勤務をする40代のフリーランス男性も、政治ニュースの代わりにサッカーに夢中になっている。この男性は「ワールドカップが始まってからは政治ニュースをほとんど見ていない。朝、目が覚めるとすぐテレビをつける。今回のワールドカップはどの試合も面白い。エムバペ、ハーランド、メッシが相次いでゴールを入れる場面を見ると、ドーパミンが出るような感じだ」と語った。

平日午後の試合のため興行は容易ではないとの懸念もあったが、流通・外食業界は「ワールドカップ特需」を享受している。ワールドカップ開幕日の12日から14日まで、ムシンサ(MUSINSA)ストア内の「サッカーユニフォーム」検索量は前週(6月5〜7日)比113%増加した。特に「大韓民国ユニフォーム」と「代表ユニフォーム」の検索量はそれぞれ6倍に増えた。

中古取引プラットフォームの「タングン」でも、8〜15日の「ワールドカップ応援」検索量が前週比1918%急増。「国家代表ユニフォーム」の検索量も275%増加した。

食べ物の消費も大きく増えている。「配達の民族」によると、チェコ戦当日のキックオフ直前にあたる午前10〜11時の注文件数は、前週の同時間帯比で90.6%増加。午前9時から正午までのチキンの注文量は875.7%も急増した。注文量の増加はオフィス街でより顕著で、光化門(クァンファムン)は115%、汝矣島(ヨイド)は71.3%、乙支路(ウルチロ)一帯は58.5%増え、大学街の商圏も51.5%増加した。オフィスやキャンパスで団体応援に乗り出した需要が反映されたとみられる。

専門家は、こうしたワールドカップ熱の背景に政治的葛藤とそれに伴う疲労感があるとみている。地方選挙が陣営対立と葛藤を浮き彫りにした一方、ワールドカップは勝敗をともに経験し、共同体意識を感じさせる「統合の場」の役割を果たしているという。単なるスポーツ熱を超え、90分間の集団的なカタルシスが社会的な癒やしの仕組みとして作用しているとの評価だ。実際、関連語の肯定・否定分析の結果、地方選挙には「疲労」「泥仕合」「不備」など否定的な表現が主に登場した一方、ワールドカップ関連キーワードには「面白い」「感動」「楽しむ」など肯定的な表現が目立った。

ソウル大学心理学科名誉教授のクァク・クムジュ氏は次のように分析する。

「政府に対する国民の不信が強いため、ワールドカップという肯定的な刺激だけで葛藤が簡単に収まるわけではない。試合の勝利から来るカタルシスが疲労感とストレスを和らげる助けになり得る。分断は人間の本性だが、ワールドカップは政治的に分かれた集団も一つに統合する。異なる考えを持つ人々もワールドカップを通じて『私たち』になる。対立ではなく協同と連帯を経験しながら、社会的対立を減らす肯定的な効果が期待できる」

(c)MONEYTODAY

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