
韓国で仏教の教えや世界観を現代的・トレンディーに解釈した「ヒップ仏教」ブームが巻き起こり、関連グッズ業界が異例の活況を呈している。韓国のグループ「BTS(防弾少年団)」のメンバーが仏教をモチーフにしたTシャツを着用したことで火がつき、伝統的な仏教行事にはトレンドに敏感な若者層が殺到。ペット市場にまで仏教の価値観を取り入れた商品が登場するなど、市場の裾野が広がっている。
「注文数が30倍以上に跳ね上がりました」。ライフスタイルブランド「BHAVANTU」のキム・ソヒョン代表は、ブームの契機となった2025年夏をそう振り返る。ヨガや瞑想用品を小規模に扱っていた同社だが、BTSのリーダーRMが、ヘッドセットを着けて静かに瞑想する釈迦を描いた同社の「ヘッドセット仏陀Tシャツ」を着用した写真がSNSで拡散。発売当初は月100枚程度だった販売量が、一気に月3000枚を突破した。
この勢いを決定づけたのが、若者世代の台頭だ。4月2日から4日間にわたり開催された「ソウル国際仏教博覧会」には、過去最多となる約25万人が来場。主催者推計によると、来場者の73%をMZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)が占め、無宗教の来場者も48%に上った。開場と同時にグッズブースへ若者が詰めかけるなど、宗教の枠を超えたカルチャーとして受容されている実態が浮き彫りになった。
ブームの過熱を受け、韓国仏教の最大宗派である大韓仏教曹渓宗も専門ブランドを立ち上げ、釈迦がスクワットをする姿をあしらった「下半身仏陀Tシャツ」などを投入。2026年に入り関連ホームページの会員数が4000人以上増加するなど、攻勢を強めている。
さらに市場はペット業界にも波及している。2026年に創業した「犬心寺」は、仏教の「慈悲と共存」をコンセプトに掲げた犬用のビーガン(完全菜食)フードやおやつを開発。「愛犬を修行の伴侶と捉える」という独特のメッセージ性が、ペットの健康意識の高い飼い主の間で口コミを中心に支持を広げている。
専門家は、この仏教グッズ人気の背景に現代人の精神的な乾きがあると指摘する。
仁荷(インハ)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は「日々を慌ただしく生きる現代人にとって、仏教の持つ静けさや内省の思想は、感情を浄化してくれる『デトックス』のような役割を果たしている」と分析。「仏教はもともと豊富な文化的コンテンツを持っているため、今後もデザインや商品として現代風にアレンジされ、市場はさらに拡大するだろう」と見通している。
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