
季節外れの暑さで、一人でも気軽に楽しめる1人用カップかき氷が人気を集めている。ところが韓国最大のコーヒーブランドであるスターバックスでは、かき氷は午後2時を過ぎなければ買えない。冷たい飲み物が切実な昼食時間に、なぜかき氷の販売を制限しているのだろうか。
スターバックスは4月24日、夏季限定でかき氷の新メニュー2種を発売した。小豆とミルク氷の上にシリアル、きな粉餅風クリーム、餅をのせたレッドビーンかき氷と、マンゴーとヨーグルトクリームの調和が際立つアップルマンゴーかき氷だ。新メニューは午後2時から午後8時までのみ販売される。
1999年に韓国に進出したスターバックスが、かき氷商品を出したのは今回が初めてだ。季節外れの暑さに物価高の影響まで重なり、比較的手頃な価格で飲み物とデザートを同時に楽しめるかき氷の人気が高まっているためだ。
熱気が高まるほど競争も激しい。2025年にメガMGCコーヒーがカップかき氷シリーズでブームを主導したのに続き、2026年はトゥーサムプレイス、イディヤコーヒーなど中大型ブランドも本格的に参戦した。最近1カ月の間に発売されたかき氷だけでも10種類を超える。
実はカフェにとって、かき氷は「利益が少ない」メニューだ。多様なトッピングや果物など原材料の比重が高く、利益率が低いためだ。それでもかき氷を出すのは、暑い夏に顧客を店舗へ呼び込む強力な「目玉商品」だからだ。
業界関係者は「夏場はかき氷がなければ客が店を離れるほどだ」とし、「販売量とは別に、まずラインアップをそろえる必要がある」と話す。
華やかなかき氷競争の裏には、職員の苦労が隠れている。材料を層ごとに積み、精巧に飾らなければならないかき氷は、製造工程が難しいメニューだ。これはそのまま職員の業務負担につながる。客が集中する昼食時間なら、混乱はさらに大きくならざるを得ない。
午後2時以降にのみかき氷を販売するスターバックスの方針は、こうした「業務過負荷」を考慮した決定だ。殺到するコーヒー注文だけでも慌ただしい時間帯にかき氷製造まで加われば、パートナーの労働強度が高まるだけでなく、全体的なサービス品質まで低下しかねないと判断したわけだ。
最も高い売り上げが期待できる時間帯に、パートナーの勤務環境を優先し、「販売制限」という決断を下した点は評価に値する。短期的な収益最大化より、持続可能な運営環境を選んだという点で、業界に示唆するところは大きい。
スターバックスは店舗職員を「パートナー」と呼び、全員を正社員として採用し、充実した福利厚生制度を運営していることで知られる。パートナーは飲料だけでなく新世界系列会社の割引特典を受け、育児休職の保障や自己啓発のための教育プログラムなどの支援も受ける。
スターバックスのかき氷販売戦略は考えるべき点を投げかけている。「実績向上」と「勤務環境」という二つの価値が衝突する時、企業はどのような選択をすべきなのか。コーヒー専門店10万店時代を迎えたカフェ業界が、一度はかみしめるべき点だ。【news1 ファン・ドゥヒョン記者】
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