
韓国の国家観光戦略会議が首相直属から大統領直属へ格上げされ、観光政策が新たな転機を迎えている。政府が観光を文化体育観光省だけの所管業務ではなく、国家の生存に関わる戦略産業と位置付けたことで、業界と学界からは期待の声が上がる一方、実際に政策を動かす実行力こそが試されるとの指摘も出ている。
文化体育観光省などによると、21日の国務会議(閣議)で、国家観光戦略会議を首相所属から大統領所属へ引き上げる内容を盛り込んだ観光基本法改正案が議決された。
2017年の発足後、計11回開かれてきたこの会議は、今回の改正で地位の強化に加え、観光振興計画の推進実績評価や政策のフィードバック機能まで法制化された。これにより、実務面でも影響力を持つ政策体系として位置付けられることになった。
韓国観光協会中央会と業種別・地域別の観光協会は、法改正後に歓迎声明を発表した。ホテル、旅行、MICE、カジノなど12の業種団体と全国17の広域地域協会は、「今回の格上げは観光政策の推進体制を一段高い水準へ引き上げ、政府全体の実行力を確保する契機になる」と強調した。
現場では、単発で終わる政策からの脱却を求める声も強い。ノルゴモッキ研究所長のイ・ウソク氏は「大統領が直接陣頭指揮を執る会議を通じ、観光産業の価値が認められた」と歓迎しつつも、「人口減少地域への旅行支援のような政策も、予算が尽きれば人の流れが止まる状況が繰り返されてきた。消耗型ではなく、好循環を生む呼び水として政策を設計すべきだ」と訴えた。
また、ノルユニバース対外戦略代表のパク・ソンシク氏は「省庁横断の協力が円滑になれば、旅行関連企業の革新が進み、国家経済全体にも新たな活力を与えられる」と述べた。その上で、政府は制度的基盤を整え、業界は最新トレンドやデータ、技術力を示すことで、持続可能な観光生態系を築けると強調した。
学界では、今回の格上げが各省庁の縦割りを崩す実質的な仕組みにならなければならないとの声が出ている。ユン・ヘジン京畿大教授は「大統領という強力な調整役が確保された以上、規制改革や大規模インフラ投資の決定が加速してほしい」と述べた。さらに「査証、交通、買い物など、文化体育観光省だけでは解決しにくい課題を扱う省庁横断の実務決定の場になるべきだ」と指摘し、大統領室内に観光振興秘書官を新設する案も示した。
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