2024 年 5月 5日 (日)
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韓国・零細企業にも拡大された「重大災害処罰法」…「事故起きたら手錠」広がる事業主の懸念

ソウルの国会前で開かれた重大災害処罰法に関する集会(c)news1

「作業所で手が挟まる事故が6カ月の間に2回ありました。従業員たちに毎日、朝礼の度に安全教育を施し、挟まり事故防止施設も追加で補完したが“100%安全”は断言できません。努力してもまた事故が発生したら、無条件に代表を処罰するというので、本当にどのように対応すべきか困惑しています」

韓国で17年間、中小メーカーを経営しているチャン代表。彼の作業所では半年間に従業員2人が挟み込み事故で負傷した。事故当時、労災処理をして済ませたが、重大災害処罰法(重処法)が拡大施行された後だったなら、処罰される可能性もあった。

「会社の規模が小さいので従業員の相次ぐ負傷で他の従業員も大きなショックを受け、士気も低下した。しかし、もし法施行以後だったら会社代表の私が拘束されたかも知れないし、そうなれば廃業するまでに追い込まれただろう」

チャン代表はこう振り返った。

50人以上の事業所にのみ適用されていた重処法が、先月27日から5人以上の事業所すべてに拡大適用された。零細中小企業であっても従業員数によって重大災害発生時に代表が処罰されるようになったのだ。

同法によると、同じ事故で6カ月以上の治療が必要な負傷者が2人以上発生した場合、処罰される可能性がある。安全・保健確保義務を果たさなかった事業主または経営責任者らは7年以下の懲役または1億ウォン(1ウォン=約0.1円)以下の罰金に処する。

従業員数40人程度のチャン代表の会社も重処法の適用対象業者だ。チャン代表の製造工程では熱を加えて材料を作る窯を使う。爆発事故の危険があり、機械が誤作動する可能性があるため、チャン代表は従業員の安全教育と設備整備に万全を期している。

製品を容器に入れる充填器は、チャン代表が特別に神経を使っている設備だ。設備運用の特性上、誤って挟み込み事故が発生する可能性もあるためだ。最近の事故もここで発生した。

重処法が施行されたが、何をどう準備すべきか――チャン代表は途方に暮れている。

「専門家に相談してみたが、実質的な助けにはならなかった。今、私たちの現場は引き続き事故に気を付けているが、重処法が施行されたからといって特別に変わったことはない。このような状況で事故が起きれば、ただ処罰を受けなければならないのか」

重処法の適用に対する正確な認知が不足している中小企業主や零細企業家も少なくない。

従業員7人規模の精肉類卸売業者を経営するソ代表は「肉を切るのが仕事で、何度か手に怪我をしたら、それも重処法に該当するのか。勤労者を保護しようとする趣旨には共感するが、処罰範囲や法に明記された『保護義務』ということが、いったいどこからどこまでを指すのか誰も教えてくれない」と嘆く。

(c)news1

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