2024 年 4月 29日 (月)
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韓国ベストセラー作家、話題作「不便なコンビニ」は「長い目で考えてください」

小説家キム・ホヨン(c)NEWSIS

韓国の作家キム・ホヨン(48)が2021年に発表した「不便なコンビニ」が、累積販売100万部を突破した。人気はとどまることなく、続編「不便なコンビニ2」もヒット。現在もベストセラー10位を守っている。「私は年俸1000万ウォン(約100万円)の作家でした」というキム・ホヨンは、わずか2年でベストセラー作家になり、今や貧しかった過去は勲章のように映る。

「実は印税は、そんなに大したものではありません。もちろん、これまで受け取った印税に比べれば大きい金額ですが、14年間にわたる無名作家時代の苦しい生活を差し引きすれば、残るものはあまりありません」

最近、彼は自身のこれまでの作家生活を盛り込んだ「キム・ホヨンの作業室」を出版した。「不便なコンビニ」以前まで彼がさまざまな作業室を転々としながら続けた作文記録をつづっている。

◇「小説を書くのをやめるべきか悩んで書いた小説」がベストセラーに

「世界文学賞を受賞した『望遠洞ブラザーズ』が世代別の男性キャラクターを描いた作品だとすれば、『不便なコンビニ』は人生のさまざまな問題で難しい全世代キャラクターの列伝と言える。両作品に共通するのは、実際に周辺にいそうな人たちの物語という点が評価された点だ」

「不便なコンビニ」は、実はキム・ホヨンがあらゆる欲を捨てて書いた小説だ。韓国型スリラー小説を作るという覚悟で書いた前作「ファウスター」は注目を集めることができず、「もう書くのをやめるべきか悩んで書いた原稿だった」。彼は「不便なコンビニ」を最後に、OTT(ネット動画配信)のドラマ執筆に移ろうかと悩んでいたところだったのだ。

彼の作品で最も反応が良かったのはデビュー作「望遠洞ブラザーズ」だ。「不便なコンビニ」も同じように日常の雰囲気を描いたもので、「木の横の椅子」出版社の提案で光を見ることになった。

「良いコンテンツを作っていれば、時間がかかることはあっても、いつかは認められるんです。ただ、その時間を耐えられるかどうかが問題です」

◇「作家が定着するまでに時間が必要」

キム・ホヨンは、自身がそうだったように、作家が成功して自立するためには「時間が必要だ」と強調する。彼は、21世紀の文学館や土地文学館などに滞在している間、作品を構想し、執筆した。「不便なコンビニ」の話も、土地文学館が入居空間を提供してくれたため、作品を構想できたという。

「土地文学館がなかったら、私はこれまで小説を書くことができなかっただろう」

彼はそう感謝する一方で「作家たちの力になってくれる文学館が減少している。韓国政府や地方自治体がもう少し支援してほしい」と訴える。

さらにこう続ける。「韓国の若い作家を見ていると、実力のある人が本当に多い。そのような作家たちが専業作家になるには、実を結んでヒット作を作るだけの十分な時間が必要です。最初の作品から大ヒットして専業作家になれる人はほとんどいない。作家たちには一定の時間を与えることが大切だ」

◇大衆性と文学性、同時は難しい

ベストセラーとなり、韓国大衆小説ジャンルの門を開いた「不便なコンビニ」には、文学性に対する批判が伴う。「簡単で楽に読める作品だが、文学的な深さが足りない」。そんな一部の批判的な声に対し、キム・ホヨンは、自身の小説を「ジャージャー麺集」に例える。大衆性(ジャージャー麺)と文学性(高級料理)を考えた時、自分の作品は大衆性を意識して書いているという意味だ。「大衆性のある小説を書き、技術・力量が上がれば、高い作品性が生まれるだろう」

長い間無名作家として耐えてきたキム・ホヨンは、自分と同様の無名作家たちを応援する気持ちが誰よりも強い。今も文章を書きながらじっと耐えている作家たちに、彼はこうアドバイスする。

「長い時間で考えなければなりません。そして楽しまなければなりません。楽しくないと続けられませんからね。そのように長い時間で考え、良い作品を熱心に書いていると、読者は気づいてくれる。幸運がきっと訪れるでしょう。私にも、こうやって訪れたんですから」

(c)NEWSIS

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