2024 年 4月 29日 (月)
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韓国の食卓を目指す「海藻由来」の培養肉(上)

Startup Story ~~ 成功のカギ

シーウィズ(seawith)イ・ヒジェ代表

シーウィズが開発した培養肉©MONEY TODAY

畜舎で牛・豚などの家畜を畜殺せず、実験室で、食卓に出る適量の肉を製造する魔法のような技術が食品業界で話題となっている。それが「培養肉」だ。「大邱(テグ)慶北(キョンボク)科学技術院(DGIST)」の学生創業企業「シーウィズ」のイ・ヒジェ代表は、登場して間もなく関連業界の「ライジングスター」に浮上した。

韓国国内の培養肉関連のR&D(研究・開発)はすでに形成期だが、イ代表が開発した技術は、培養肉の大衆化の難関を突破する決定的なカギであると評価されている。2019年3月にオープンしたシーウィズは、「海藻類」に基づく培養肉の製造し、独自の地位を築いたフードテク(食品技術)スタートアップだ。

イ代表は現在、DGISTの博士課程の大学院生で、バイオメディカル・エンジニアリング(BME)と呼ばれる生命工学分野の研究者だ。そんな彼の初めての起業アイテムは、培養肉ではなかった。

「大学院の授業で、海苔やワカメなどの海藻類にヨード(ヨウ素)が多すぎて甲状腺疾患を引き起こすリスクが高まるという話を聞きました。それで、海藻類からヨウ素濃度を低減した『低ヨード海藻類』というアイデアを課題で提出しました。その後、この技術を開発して、初の起業をやみくもにスタートさせました」

イ代表によると、韓国からワカメを輸出しようした際、ヨード含量が高いという理由ですべて返品されたという。そのため、海藻類を収穫して後処理を施し、低ヨード海藻類を作って輸出してみようと考えた。研究の末、後処理でワカメのヨードを70%まで減少させることに成功した。この技術で特許を2件出願、そして登録した。

しかし、低ヨード海藻類は商品化する場合、市場成長の可能性が低いという指摘が相次いだ。イ代表を支援していたDGIST産業科学研究協力チームとメンターも、技術より流通・ブランド力にもっと力を注ぐべき事業だと判断していた。

イ代表は、自身の力をさらに発揮できる方向にピボッティング(pivoting/事業転換)を希望した。その時、自身の専攻技術と、海藻類を組み合わせた培養肉ならば、当面の問題を解決できると考えるに至り、会社設立後わずか1カ月で、培養肉専門企業として新たな看板を掲げた。

©MONEY TODAY

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