
「これからはもう書き込まない、学校にもきちんと通うと言っていました。あの時、その言葉を信じてしまったことを、今も激しく後悔しています」
娘がこの世を去ってから3年が過ぎた今も、父親の時間はあのオンライン空間で止まったままだ。1日に数十件もの投稿を繰り返しながら、娘が孤独とうつを吐き出していた場所。そこは、命を絶つことをあおる危険な書き込みが、何ら制止されることなく放置されている空間だった。
家族の記憶にある娘は、活発で感受性の豊かな少女だった。「個性が強く、ポップソングを好み、自作の詩を書くほど芸術的なセンスに優れた子だった」と父親は振り返る。
異変が生じたのは、中学校に入学した2020年だった。新型コロナウイルスの世界的な流行により学校生活が一変。オンライン授業が続き、感染による隔離生活を余儀なくされた。ようやく教室に戻ったときには、周囲の友人関係はすでに固定化されていた。父親は「そのころから、娘が『憂うつだ』と口にすることが増えた」と語る。
行き場を失った少女が頼ったのが、あるインターネット掲示板だった。家族が気づいたときには、1日に30件を超える投稿を重ねていた。画面の向こうには、嫌悪や自嘲、うつ感情が入り交じる言葉が果てしなく並んでいた。父親は「もう書き込まないように」と諭し、娘もそれに応じた。父親はその言葉を信じるほかなかった。
しかし、高校に入学して間もない2023年4月、娘は極端な行動に及ぶ。一命を取り留めた娘は「死のうとしたわけじゃない。これからは学校に一生懸命通う」と話したが、そのわずか5日後、自ら命を絶った。父親は「あの言葉をうのみにせず、すぐに入院治療を受けさせるべきだった」と、悔やんでも悔やみきれない胸中を明かす。
父親によると、娘の最期の行動は、生前に掲示板で共有されていた有害情報の手順と酷似していた。オンライン空間で反復して触れた情報が、現実の行動を誘発した形だ。
悲劇の後も、ネット上の冷酷な書き込みは止まらなかった。娘の死をあざ笑うかのように「自分が影響を与えた」とほのめかすコメントさえ付いた。父親はそれらを一つ一つ保存し、投稿者を身元不詳のまま警察に告訴した。
捜査の結果、特定された投稿者は、自殺予防および生命尊重文化造成に関する法律違反の罪に問われ、2024年3月に懲役10カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた。判決から2年余りが経過した現在も、残された家族の日常は戻っていない。父親は今も精神科への通院を続けている。
父親は、オンライン上の有害情報から未成年者を守る法整備の必要性を強く訴える。「SNSや掲示板が青少年に与える悪影響は、大人の想像をはるかに超えている。未成年者を保護する仕組みの構築や、有害情報を繰り返し流布するアカウントを強制排除する『ストライクアウト』制度の導入など、実効性のある対策が急務だ」と涙ながらに語った。
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