2024 年 5月 17日 (金)
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[KWレポート] K-ディフェンスの無人システム (3)

海外からラブコール

ハンファディフェンスの無人捜索車両(写真提供=同社)©MONEYTODAY

韓国軍は未来戦で重視される「無人システム」の導入を目指し、開発に力を入れています。同国の軍需企業「ハンファディフェンス(Hanwha defense)」を通して、その取り組みをみてみます。(最終回)

◇米国やドイツに匹敵

ハンファディフェンスの無人化システム技術は、防衛産業先進国の米国やドイツと比べても引けを取らない。

ソ・ヨンウ氏は「世界的に無人化システムは戦力化を始めたばかりの段階で、ハンファディフェンスもこれに歩調を合わせている」という。ドイツの防衛・自動車関連大手「ラインメタル(Rheinmetall)」が公開した自律走行パッケージと比較した場合でも「ハードウェアはやや優勢。ソフトウェアの技術力も劣っているとは思わない」(ソ・ヨンウ氏)とみる。

価格競争力も優れており、海外からもラブコールが来る。

アラブ首長国連邦(UAE)や米国、オーストラリアなどが、ハンファディフェンスの無人化システムに関心を示している。

特にUAEは、地上軍司令官名義でハンファディフェンスに多目的無人車両に関する公式書簡を送ってきた。

ソ・ヨンウ氏は「UAEへの多目的無人車両の輸出を推し進めている。現地に赴いて、テスト運用しようという計画もある。既にアップグレードされた製品は、韓国軍が要求する条件に比べて性能が2倍以上優れている。海外での関心も高い」と胸を張る。

ハンファディフェンスは、K9自走砲の輸出契約を結んだオーストラリアに、後続事業として無人化システムを提案した。

同国では、無人システムとともにK9自走砲を運用する有人・無人の複合システムの後続事業に関心が高い。今年中に提案書を送る予定で、オーストラリア軍も前向きに検討している。同国軍がこれを採択すれば、K9自走砲の運用国であるトルコ、ノルウェー、フィンランド、エジプトなどにも無人化システム後続事業を輸出する可能性が高まるわけだ。

◇無人化システムに関心高く

米軍ともさまざまなチャンネルを通じて無人化システムの輸出を議論している。

ソ・ヨンウ氏によると、韓国に駐留する米第8軍は無人システム合同作戦に関心が高く、最近、ハンファディフェンス本社を訪問して多目的無人車両のデモンストレーションを見学したという。「ハワイに駐留する米海兵隊も物資輸送のための無人化システムに関心が高く、問い合わせが来ている」そうだ。

米国防総省は海外製品比較試験(FCT)プログラムを運営し、米国で生産されていない同盟国の優秀な防衛製品や技術を試している。米軍兵器システム調達市場への進出を目指すならば、このプログラムを通過しなければならない。

ここで、米海兵隊はハンファディフェンスの多目的無人車両をFCT対象として提案したのだ。

ハンファディフェンス国防ロボット事業部は、米軍の多くの領域での作戦力の高度化を目指す「プロジェクトコンバージェンス(PROJECT CONVERGENCE)」に参加するため、準備を進めている。

ここでは、既に戦力化された「ブラッドレー歩兵戦闘車」「エイブラムス」戦車などとともに、新たな武器システムを試す。ハンファディフェンスの無人システムも来年、参加することになる、という。ソ・ヨンウ氏は「米陸軍がAI統合センターを運営するカーネギーメロン大学の国立ロボティクス工学センターと関連事案について議論している」と話している。

◇海外輸出を念頭

ハンファディフェンスは、武器システムを開発する時、必ず海外輸出を念頭に置いて着手するという。無人システム技術の発展速度があまりにも速く、軍の戦力化後に輸出しようとしても手遅れになるからだ。「各国がハンファディフェンスの無人システムに関心を示している。だからこそ、輸出に成功し、国家経済を活性化させたい」。ソ・ヨンウ氏はこう意気込む。

韓国の無人化システムがさらに発展するためには規制のサンドボックスを導入する必要があると力説する。

初めて開発する武器システムであり、予想外の問題が発生する可能性がある。だが、現在の行政制度上では柔軟に対処できないという。「開発する立場では、規制を緩和し、手続きを簡素化してほしい」(ソ・ヨンウ氏)という要望がある。

◇急がれる政府の支援

韓国は無人化技術をテストし、データを蓄積できるテストベッド(新技術の実証試験に使うプラットフォーム)もまだ不足している。

無人システムが原野のようなオフロードで走行するためには、それに似た環境で収集した数多くのデータを使って、機械学習をさせなければならない。軍部隊の所有地は、実際の戦場環境と似ていて、無人システムがアルゴリズムを実験して学習するのには適している。「だが、保安規定のためにそれが可能か疑問だ」というのがソ・ヨンウ氏の感想だ。

「訓練をしない時は、防衛産業企業の無人システム開発のために軍施設を開放してもらえれば、非常に役立つ。この点を軍関係者と議論してみたい。最近、国防省のレベルでも、こうした制限を解消するため努力している」

多様な条件の原野で実験できるよう、政府が迅速に、積極的に、テストベッドの支援をしてほしい――ソ・ヨンウ氏はこう強調する。

(おわり)

「K-ディフェンスの無人システム」はMONEYTODAYのチェ・ミンギョン記者が取材しました。

©MONEYTODAY

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