2024 年 5月 3日 (金)
ホーム特集KW レポート 私の赤ちゃん、育てない権利 (8)

[KWレポート] 私の赤ちゃん、育てない権利 (8)

(c)news1

韓国で立法の空白が起きるなか、子どもを望まない女性たちの中絶は毎年、少なくとも2万件に上る――こう推計されている。

韓国保健社会研究院が保健福祉省の依頼で2021年11月19日から12月6日まで、満15~49歳の女性8500人をオンラインアンケート方式で調査した結果、2020年の1年間に施行された中絶は3万2063件とはじき出された。

2005年の調査で34万2433件に達したのに比べれば、15年間で10分の1以下の水準に急減したが、2018年は2万3175件、2019年は2万6985件だった。

◇どう進める中絶の「非犯罪化」

中絶の問題をめぐっては、女性団体から児童、宗教、医学の各方面で激しい対立が続いている。中絶許容基準をめぐっても心拍数が感知される時期である妊娠6週と10週、14週(政府案)、24週、全面許容など意見が分かれる。

米連邦最高裁判所は2022年6月、「中絶は憲法で認められた女性の権利だ」とする49年前の判断を覆した。「お腹の中の赤ちゃんの生命を母親が決めることはできないという判決だが、あまりにも当然なことだ」。聖山(ソンサン)生命倫理研究所のホン・スンチョル所長は、胎児の生命を優先すべきだと考える。「韓国で現在、胎児、乳児、新生児に対する生命尊重がなされておらず、これは世界的な生命倫理の流れに逆らうものだ」と批判する。

社会経済的理由で中絶を許容するようにするのではなく、女性と子どもに対する直接的な支援金などを増やす方向を考えなければならない――ホン・スンチョル所長はこう強調したうえ「憲法裁の決定は残念であり、政府案も再検討が必要だ」と訴えた。

市民団体「性的権利と再生産正義のためのセンター(SHARE)」のナ・ヨン代表は「刑法上、堕胎罪の実効性が消えた状況であるため、中絶の『非犯罪化』を前提に、どのように権利を保障し、保護できるかという議論につなげければならない」と話す。

そのうえで「非犯罪化に努めながら、実質的な支援策と国家責任が含まれた基本法制定が必要だ。国家、地方自治体が中長期計画を立てて実行できる体系を明示することが、基本法に含まれるべきだ」と訴えた。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular