2024 年 4月 30日 (火)
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[KWレポート] 優雅な海外逃亡生活 (4)…「楽園」逃れをどう防ぐか

ライム資産運用(ライム)事態の核心人物であるキム・ボンヒョン元スターモビリティ会長(c)NEWSIS

「ウェルカム・トゥ・フィリピン」。フィリピンカジノ界の大物となった韓国人チャ・ムシク(チェ・ミンシク)の波乱万丈な人生を描いた作品が、ディズニープラスの新作「カジノ」だ。ドラマの中で、チャ・ムシクが20億ウォンの資金を投じて事業入札権を獲得した「カリーズボルトンホテルカジノ」は連日、韓国人で賑わっている。

◇「お金で駄目なことはない」

フィリピンには、韓国からの国外逃亡犯が集まっている。ドラマではその優雅な逃亡生活が描かれているが、現実にも起こっているのだ。

捜査機関の手を逃れ、8カ月間、海外逃亡を続けてきたサンバンウルグループのキム・ソンテ前会長がタイで検挙されたのだ。キム前会長は数十億ウォンに達するドルを保有し、タイやシンガポールなどを回りながら、現地警察出身の警護員を同行させ、ゴルフをするなど豪華な生活を送っていた。

キム前会長は、韓国検察と警察が連携したタイ警察の移民局職員に検挙されたのだ。当時、キム前会長は、ヤン・ソンギル現サンバンウルグループ会長と、タイ・パトゥムタニにあるゴルフ場で余暇を楽しんでいた。人目を避けて身を隠すというより、好きなことをやり尽くす皇帝のような生活だ。

韓国警察庁の統計によると、昨年1~7月に海外に逃亡した後に検挙され、国内に送還された犯罪者は203人。このうちフィリピンで検挙されたケースが56人(27%)で最多だった。

東南アジアが海外逃亡犯の「楽園」になっているのはなぜか。法曹関係者は、アクセスの良さ、物価の安さ、取り締まりの緩さを挙げる。特に、東南アジアでは偽造パスポートを作るのが容易で、入国は難しくない。「お金さえあればできないことはない」と誰もが口をそろえる。

フィリピンで逃亡を続けた依頼人の弁護を担当したある弁護士はこう語った。

「どうやって東南アジアで逃亡生活を送っていたのかと尋ねると、偽造パスポートで短期旅行ビザを受け取り、フィリピンやタイ・ベトナムなど東南アジア一帯を回りながら、滞在を続けていた」

東南アジアでは、一般的に物価が安く、不法為替操作などを通じて国内にある資金を引き出すことも容易だという。経済的な困難は比較的少ないようだ。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、中国が出入国管理を強化したことも、隠れ家としての東南アジアの価値を上げた。数年前までは、中国に船で密航し、偽造パスポートで入国するケースが多かったが、今は密入国はかなり難しい。

捜査関係者らは、「東南アジアは、フィリピンだけでも7000余りの島がある。犯人が本気で隠れようと思えば、身柄を捕まえるのは事実上不可能だ」と語る。

◇「海外逃避時は裁判時効も停止」

スターモビリティのキム・ボンヒョン元会長は、不良ファンド販売で投資家に1兆6000億ウォン台の被害を与えた「ライム資産運用事件」で罪を問われ、被告となった。ところが、昨年11月、結審公判の約1時間前に電子ブレスレットを切って行方をくらまし、海外密航説もささやかれた。

逃走から48日後、京畿道(キョンギド)華城市(ファソンシ)で逮捕された。裁判は再開されたが、仮にキム元会長が海外に逃走し、25年間逮捕されなければ、裁判所は時効を根拠に免訴判決を下しただろう。免訴とは、刑事訴訟要件が消え、有罪・無罪の判断なしに裁判を終結することだ。

現行法上、捜査中や裁判が確定した後、処罰を避ける目的で海外に逃亡すれば、公訴時効と刑執行時効が停止される。だが、裁判中の被告が海外に逃走した場合は、特に裁判時効停止規定がない。まさに司法規定の盲点と言える。

実際に罪を逃れた事例もある。1997年に5億6000万ウォンの詐欺行為を手掛けた被告が、起訴直後に出国。2020年まで帰国せず、最高裁が昨年9月に免訴判決を下したケースだ。

こうした逃げ切りを防ぐため、韓国法務省は、刑事訴訟法改正案を立法予告した。裁判中の被告が海外に逃避した時も、公訴時効25年を停止させるのが目的だ。

(おわり)

(c)MONEYTODAY

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