2024 年 5月 2日 (木)
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[KWレポート] データが語る「コロナ時代の児童虐待」 (4)

虐待の死角地帯

最高裁前でジョンインちゃんが事件の判決を聞いて涙ぐむ大韓児童虐待防止協会員ら©news1

韓国の児童虐待申告件数は2020年と比べ、昨年は30%近く増加しています。家にとどまっていた子供たちが再び学校に通い始め、隠されていた児童虐待が明らかになったためとみられています。統計をもとに児童虐待の現状を探ってみました。(最終回)

ソウル市陽川区で生後16カ月の養子が養父母の虐待で死亡したいわゆる「ジョンインちゃん事件」は世間に大きな衝撃を与えた。同時に地方自治体の児童虐待予防と対応システムの不備も問題視され、ソウル市は対策の策定に乗り出した。

実際、ソウルの児童虐待申告・判断件数は2017年以降減少傾向だったが、新型コロナウイルス禍が長期化し、昨年は最高値を記録した。児童虐待判断件数は2017年に2307件だったが2019年に2200件まで低下。しかし、昨年は3421件となった。児童虐待申告件数も2019年に3571件だったが昨年は6262件に急増した。虐待行為者の80%以上は親だった。

市は「ジョンインちゃん事件」を機に、昨年5月に児童福祉センターを「児童虐待予防センター」に拡大改編して司令塔の役割をさせるなどの「児童虐待予防・対応制度強化対策」を発表した。推進制度はもちろん迅速対応・保護措置の強化、事前予防および早期発見制度構築など、3分野計14テーマで構成し、警察・病院など関連機関とも協力するという内容だ。

市はまず、この1年間にこれまで79人だった区の児童虐待専門職員を99人に増員するなど人材を増やした。24時間迅速な現場対応ができるよう各区に専用車両と録音記録装備を支給。ソウル警察庁と業務協約を締結して被害児童発見から保護まで共同対応体制を構築した。

ジョンインちゃんの両親の処罰を求める1人デモの様子©news1

これまで現場で最も大きな問題点として指摘されてきた被害児童に対する迅速な医療支援のために、夜間・週末・応急状況など24時間利用可能な広域専門医療機関8カ所を指定して運営した。市の児童虐待専門医療機関モデルは、保健福祉省のモデル事業を通じて全国に広がった。

市はまた、専門職員が現場で判定していた児童虐待の有無について、医師や弁護士、臨床心理士などの専門家が参加できるようにした。これを通じて、表には見えない外傷や情緒的虐待に対する判断を支援するようにした。虐待被害児童の迅速かつ安全な保護のための児童保護施設も、従来の8カ所から10カ所に拡充した。

合わせて危機児童の早期発見のために「福祉死角地帯」児童に対する全数調査を定例化した。

昨年、ソウル特別市警察庁と合同で最近3年間(2019~2021年)に2回以上申告された高危険群児童計3万5470人を調査した。

このうち2121件に対しては捜査依頼と虐待申告、福祉サービスとの連携などの措置を取った。最近1年間に申告されたが、虐待ではないと判断された児童1719人に対してはモニタリングを実施し、虐待申告やサービスとの連携など67件の措置を取った。

市の関係者は「今年下半期現在、満3歳以上の危機児童を対象にする全数調査を満0~2歳の児童まで拡大する対策を推進中だ。乳幼児や障害児の特性を考慮したオーダーメード型の一時保護施設も拡大する計画だ」と述べた。また「区中心の児童保護専門機関は持続的に拡充し、児童虐待への対応および予防に万全を期する」とも述べた。

(おわり)

「データが語る『コロナ時代の児童虐待』」はMONEYTODAYのチョン・ヒョンス、イ・チャンミョン、キム・ジヒョン、キ・ソンフンの各記者が取材しました。

©MONEYTODAY

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