韓国で違法な取り立てによる被害が深刻化している。違法金融被害件数は今年10月までに2789件と、前年同期比58%増加しており、被害者保護の強化と警察の積極的な対応が求められている。
具体的な事件を見てみると、未登録の貸金業者は10~20万ウォン(約1万1000円~2万2000円)を貸し付け、借り手に対して「インスタに晒すぞ」などの脅迫メッセージや家族写真を加工した画像を送るなどして圧力をかけた。この手口で業者は昨年4~8月に15回にわたって275万ウォン(約30万5000円)を貸し付け、260万ウォン(約28万9000円)の利息を得た。この業者は最終的に懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた。
今年9月には、違法取り立てに悩んでいた30代のシングルマザーが命を絶つ事件が発生したことから、取り立て被害に対する懸念が一層高まった。
違法金融犯罪に対する処罰は現行では主に▽貸金業法違反(6カ月~1年6カ月の懲役が基本)▽債権回収法違反(夜間訪問や繰り返しの電話など:4~10カ月の懲役)▽暴力や脅迫を伴う行為(6カ月~1年6カ月の懲役)――など、被害者を苦しめる手口の悪質さに比べて刑が軽いとの指摘が多い。
専門家は、処罰強化よりもまず被害者保護策の充実が急務と指摘している。特に、違法な取り立てが原因で命を絶つような事態を防ぐため、警察の迅速な対応が必要だという。
また、被害者が報復を恐れて警察に通報するのを躊躇するケースも多い。過去には、借り手の顔写真を加工して脅迫した組織が検挙される一方で、社会的な羞恥や報復を恐れた被害者の多くが沈黙していた。
警察行政学の専門家は「警察の積極的な調査と迅速な対応が求められる。特に、被害者の身の安全を確保し、違法な貸金業者に強い警告を発する必要がある」と提言している。また、警察内部でも捜査力向上への特別な措置が検討されている。
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