
韓国で薬物の影響下による運転事故が相次ぎ、社会の警戒感が高まっている。4月2日に施行される改正道路交通法では、薬物運転の処罰が従来の「3年以下の懲役または1000万ウォン(約110万円)以下の罰金」から、「5年以下の懲役または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金」へ引き上げられる。さらに、薬物検査への応答を拒否した場合も、薬物運転と同水準で処罰する規定が新たに盛り込まれた。
薬物運転は、違法薬物に限らず、向精神薬や睡眠導入剤などの影響で正常な運転が難しい状態で車を運転する行為を指す。最近は麻薬使用後の運転だけでなく、処方薬を服用した後の事故も目立っている。
実際、2月25日にはソウルの盤浦大橋で、薬物を使用した状態でポルシェを運転していた30代女性がガードレールに衝突し、車両が橋の下へ落下した。車内からはプロポフォール注射剤や鎮静麻酔薬、使い捨て注射器などが見つかった。同月28日にはソウル市龍山区で、車線を保てない状態でベンツを運転していた30代男性が薬物検査を拒否して緊急逮捕され、車内からは電子たばこ型の薬物キットとみられる物品が発見された。1月には京畿道龍仁市付近の高速道路で、大麻を吸引した20代運転手が約10キロにわたって逆走し、複数の車両と衝突する事故も起きている。
処方薬が絡む事例も出ている。1月にはソウル市広津区で、睡眠導入剤を服用した30代女性が電柱に衝突し、薬物運転の疑いで現行犯逮捕された。江南でも、精神科で処方された薬を服用していた運転手が4台の玉突き事故を起こし、4人がけがをした。
警察庁国家捜査本部によると、2025年8月から2026年1月までに摘発された医療用麻薬関連の容疑者は651人で、前年同期より49%増えた。薬物運転に伴う免許取り消しも2025年は237件に上り、前年の163件から45%増加した。
ただ、専門家は厳罰化だけでは限界があるとみる。警察行政学者のイ・ユンホ教授は「薬物は種類や作用が多様で、飲酒運転のような明確な取締基準を設けにくい」と指摘。そのうえで「医師や薬剤師が服用薬の運転への影響を患者に十分説明する責任がある」と訴えた。
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