
韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権発足から1年目の外交について、首脳外交を再稼働させることでリーダーシップの空白を迅速に埋め、韓国外交の基本軌道を回復したとの評価が示された。一方で、こうした成果を一過性に終わらせないためには、国益中心の実用外交をどれだけ一貫して維持し、さらに拡張できるかが今後の課題だと指摘された。
国立外交院米州研究部のミン・ジョンフン教授は「イ・ジェミョン政権発足1年目:外交成果と今後の課題」と題した報告書で、政権発足から半年余りの時点で韓国外交は正常化という成果を収めたと評価した。韓米、日韓、韓中といった主要な二国間外交に加え、主要7カ国(G7)、韓国・ASEAN首脳会議、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20カ国・地域(G20)など多国間の舞台でも積極的な役割を担い、「韓国が戻ってきた」というメッセージを明確に示したと分析した。
ただしミン・ジョンフン氏は、韓国外交の最優先課題として「実用外交の一貫性維持と拡張」を挙げ、政権初期の外交正常化がイベント的成果にとどまらないよう、国益を基準とする実用外交を外交政策の恒常的原則として定着させる必要があると強調した。外交路線が特定の理念や陣営論理に再び縛られないよう、政策の予測可能性と持続性を確保することが重要だという。
具体的には、韓米間の通商・安保合意を首脳間の政治的宣言レベルにとどめてはならないと指摘した。関税交渉や安保協力、原子力推進潜水艦を巡る合意などについて、具体的な履行日程や制度的枠組みを通じて構造化し、政権交代に左右されない持続可能な協力体制として根付かせる必要があるとした。
ミン・ジョンフン氏は日韓、韓中関係についても、成果管理ではなく関係管理の制度化が求められると評価した。首脳会談による関係改善にとどまらず、ハイレベルの定例協議チャンネルを常時稼働させ、経済、技術、社会、民間交流まで含む安定的な管理構造を構築すべきだと述べた。特に韓中関係では、経済的相互依存や朝鮮半島問題における中国の影響力を考慮し、実用的な協力空間を継続的に確保する姿勢が重要だとした。
さらに、韓国外交の裾野を日米中中心から、ASEAN、中東、アフリカなど「グローバルサウス」地域へ本格的に広げる必要性も提言した。貿易や先端技術、開発協力、エネルギー、防衛産業、人材・文化交流を結び付けた実質協力中心の外交を通じ、韓国の比較優位を戦略的に生かすべきだという。
加えて、ロシアとウクライナの侵攻終結後を見据えた対ロ関係修復への備えも重要だと指摘した。終戦後にロシアの外交的影響力が回復する可能性を踏まえ、事後対応ではなく事前準備の観点から、外交、経済、資源協力のシナリオを整え、戦略的対話チャンネルを維持する必要があるとした。
ミン・ジョンフン氏は、国益中心の実用外交が朝鮮半島の安定や東アジアの勢力均衡維持にとどまらず、韓国を「グローバル中核国家」へと押し上げる長期外交戦略の土台になると評価した。実用外交が政権初期の成果に終わらず、一貫して推進されるかどうかが、今後の政策完成度を左右すると強調した。
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