2024 年 4月 30日 (火)
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韓国・消費者データ企業トップが語る「実際の顧客の意見、漏れなく事業戦略に反映させる」ノウハウ

オープンサーベイのファン・ヒヨン代表(c)KOREA WAVE

「企業は、デジタルやオフラインで連続的に発生する顧客の経験を管理する必要がある。顧客が経験するすべての接点をデータで把握して分析し、パーソナライズされた経験を提供することで、顧客の維持率などを高めることができる」

韓国の消費者データ関連会社「オープンサーベイ」のファン・ヒヨン代表は17日、ZDNet Koreaがソウルで開催した「アドバンスド・コンピューティング・カンファレンス・プラス(ACC+)2024」で、データに基づく顧客経験の管理を通じたビジネス成長戦略についてこう述べた。

オープンサーベイは2600社余りの企業にオーダーメード消費者データを提供している。リサーチサービスを提供してきた同社は昨年12月、「データスペース」という新サービスを発売した。

◇「顧客の期待は次々と変わる」

現在、多くの企業はユーザーレビューやカスタマーセンターなどで顧客の意見を吸い上げている。だが▽カスタマーセンターは最も不満が多い消費者が連絡する▽(サービスに)好意を持っていたり、リワード(補償)を目的にしたりしてレビューを記録する――という点で、ユーザー全体の声を代表しているとは言い難い。

このような状況で、同社は「データスペース」が実際の顧客の意見を漏れなくビジネス(事業)戦略に反映されるようにすると自信を示す。ファン代表は「顧客の期待水準と経験水準のギャップ(格差)は自然に発生する可能性がある。顧客の期待は次々と変わるためだ」と説明した。

ファン代表は韓国のネット通販最大手「クーパン」の事例を紹介した。「かつて、クーパンがロケット配送を始めた時、利用者は満足していた。ただ、顧客はさらに速い食料品配送を望むようになり、そのニーズに合わせてロケットフレッシュサービスを始めた。現在の顧客は、このロケットフレッシュを越えるサービスを望んでいる」

現在、我々は経験が変化する時代を生きている。そのため経験格差を把握し続ける必要がある。デジタル転換後、消費者―企業間の相互作用は見えないうちに進んでいる。同時に、サービスからの離脱が以前より容易になったため、個人的な経験で得られる顧客の期待水準も高くなった――。

「物理的製品とデジタル、物理的空間とデジタルがそれぞれ連結され、立体的な顧客経験を設計して連結することが非常に重要になった。子どものおむつを買う時も写真を撮ればそれにあったサイズを推薦するなどの機能が追加された」

ファン代表はこう強調する。

◇主観的経験データの積み上げからパターンを見る

ファン代表は最近、経験管理において、データが非常に重要な役割を果たすと主張している。

「1人の主観的経験をデータとして積み上げ、1万人、10万人、100万人でのパターンを見て、全体を改善する方向を設計できるようにする。効果を測定し、次の目標を立てる。それは同時に、どんな手段を取るべきかを考える根拠となる」

満足な経験をした顧客は、さらに多くの費用を支出して、長期リテンション(継続的に関係を維持すること)顧客として残ることになる。実際に購買サービスを運営する時、長期リテンション顧客を確保することは非常に重要なことだ。良い顧客経験をした利用者が多ければ、、新規顧客確保のための費用も節減される。企業の無形資産の規模を拡大することにも大きく役立つ。

ファン代表は、顧客管理プロセスの過程で指標設計の重要性も強調した。

「ビジネス成果に連結した経験次元、接点などをあらかじめ把握し、どこでどんな経験を測定し、その結果によって何を改善するかをあらかじめ把握しておくことが必要だ。経験管理を通じて成果を得るためには、内部DBまたはCRMシステムと連動したデータ収集方法を作り、良い応答経験を提供して経験データを収集し続け、蓄積しなければならない」

蓄積したデータをもとに、改善の機会を素早く把握できる分析方法を作成・自動化しておくことにより、経験を改善し続けることができるという。

◇長期未接続の再活性化プログラム

ファン代表が最後に紹介したのは、アプリのリテンションを高めるための経験管理事例だ。

「第1に、問題が何かを定義し、仮説を立てるべきだ。この場合、自発的離脱と非自発的離脱を分けなければならない。第2に、仮説確認のためにアンケートを中心とした長期未接続の再活性化プログラムを進めるべきだ」

ファン代表は、オープンデータのアンケートによって顧客の長期未接続の理由を把握し、その内容を提示した。

それによると、利用者の半数ほどは「アプリプッシュが来ないので接続しなくなった」と答えた。また、実際にプッシュ受信に失敗したケースは9%で、大多数はプッシュを正常に受信したにもかかわらず、「受信できなかった」と誤認していた。

「これをもとに適切な効果が得られるアクションを設計した。長期未接続者再活性化のためのゴールデンタイムが1カ月というデータを得ることができた。すべてのデータを総合した結果、同じ条件の長期未接続者に残余積立金だけを案内した過去の再活性化プログラムに比べ、アンケートを活用した再活性化プログラムは、結果がはるかに良かった。単純な情報伝達にとどまらずアンケート参加という積極的なアクションを誘導し、エンゲージメントを高めることでよりいっそう効果的な再活性化に成功した」

ファン代表はこう締めくくった。

(c)KOREA WAVE

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