現場ルポ
「オーロッテマートオー ロッテマート新しくもっと楽しく♪」
「ホームプラスプラス価格が良いね♪」
韓国の大型マートで買い物をするたびに耳にする歌がある。しばらく買い物をして、ふと耳を傾けると歌詞が独特だった。歌詞には主に、各大型マートの名前が繰り返し登場する。加えて、そこで買い物をするとどんな特典が得られるか、低価格・快適な環境などについて説明が続けられる。
繰り返されるメロディにノリを合わせるとやみつきになる。買い物から帰ってもしばらくは、その歌を口ずさんだりしたりする。その歌のタイトルを探し、オンラインでストリーミングを立ち上げて、検索してみる――このような経験する人は少なくない。
「ママカフェ」などのオンラインコミュニティでは次のようなコメントが多数上がっている。
「この歌をどうやって探せばいいのか」
「ずっと歌っちゃうんだけど、タイトルわかる方いますか?」
「YouTubeのリンク共有していただけると嬉しいです」
こうした歌は、各大型マートの「ブランドソング」だ。
ブランドソングは各社のイメージ、商品、ブランドを広報するマーケティング手段のひとつ。消費者に親しみを持って近づきブランドイメージを高めることができる。ほとんどの企業が、多様なコミュニケーション手段を利用してブランドソングを配信する。なかでも、大型マートは顧客が直接店舗に訪れて、買い物する間、顧客に音楽を伝えることができるため、その効果は相対的に大きい。
◇各社が競うブランドソング
最近の大型マート業界で最も人気のあるブランドソングは、ロッテマートの「ブランド ニューロッテマート」だ。
「オーロッテマート新しくもっと楽しくオーロッテマート眩しく近づいて」
「今日も1日疲れた同じ1日、そんな日は遊びたい Let’s go ロッテマート」
こんな歌詞がついている。
この歌はロッテマートが昨年8月に「ロッテマートブランドソング公募展」を通じて優秀賞に選んだ曲だ。「毎日が新しい店舗」という公募展のテーマに合った、新しくエネルギッシュなロッテマートを表現していると評価されている。
この曲を含む、創作ブランドソングが合計6曲選ばれ、すべて全国のロッテマート店舗でBGMとして配信されている。
ホームプラスのブランドソング「ホームプラスプラス価格が良いね」もやはり、空前のヒットを打ち出した曲だ。
この歌はヒット曲を相次いで生み出した作曲家パク・シヒョク氏が手掛けた。CMソングとしても使用され、各店舗のBGMとしても活用された。現在は契約期間満了につき、流されることはないが、今でも多くの消費者たちがこの曲を記憶している。
「イーマート」も多数のブランドソングを持っている。
イーマートホームページの「イーマートブランドミュージック」コーナーにブランドソングリストを載せており、「イーマートのアイデンティティが込められた、ショッピングの楽しさと快適さをプラスさせるために誕生した音楽」としている。「プロデューサーのキム・ヒョンソク氏とともに制作した」と明らかにしている。音源は無料でダウンロードすることができるようになっている。
◇明るく軽快なメロディ
各マートブランドは、消費者が大衆歌謡のように、明るく軽快なメロディを口ずさむことで、長期的にブランドに対する肯定的な姿勢を形成する効果があるとみる。
ホームプラス関係者は「ブランドソングはブランドに対する認知度を強化し、“低価格はホームプラス”や“快適なショッピングはホームプラス”など、特定イメージを付与する役割を果たす」と説明した。
ロッテマート関係者は「既存のマートから出ているブランドソングは、童謡に近い編曲だ。昨年のロッテマートブランドソング公募展を通じて公開されたブランドソングは、大衆歌謡のトレンドを反映しながらも、やみつきになるようなメロディで大きく話題となった。こうしたブランドソングは、消費者の頭の中がロッテマートでぐるぐる回るよう刻印される効果に加え、店舗でショッピングする際にショッピングの楽しみをプラスする役割を果たしている」と分析する。
流通におけるブランドソングの活用は、国内だけの現象にとどまらない。
最も代表的なのは日本の総合ディスカントストア「ドン・キホーテ」だ。ドン・キホーテは「ドン・ドン・ドン・ドンキドン・キホーテ真夜中過ぎても楽しいお店♪」などの歌詞がついた、やみつきになるような曲を使用している。激安商品とフレンドリーなスタッフが多く、いつでも営業しているお店というイメージを伝えている、と説明した。
©MONEYTODAY