2024 年 4月 29日 (月)
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深刻な人材難の韓国半導体業界が視線を注ぐ中国人材…懸念は「技術流出」

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仕事は増えたのに働く人がいない。日本や韓国、米国、台湾など主要国・地域の半導体企業で、人材難が日増しに深刻化している。投資を延期したり生産施設稼動に支障をきたしたりする事例まで出てきた。

米国半導体工業会(SIA)は国内の半導体関連の求人が2030年までに11万5000人に増えるのに、6万7000人が不足すると発表した。日本の電子情報技術産業協会(JEITA)も東芝、ソニーなど主要企業に3万5000人余りが必要だとし、韓国は毎年1600人が不足している。

人材不足のため、生産設備の稼動も見送られる。半導体の受託生産(ファウンドリー)の最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」は、米アリゾナ州に建設している工場の稼動時期を2024年から2025年に延期した。先端装備を設置できる熟練人材を確保できず、工場の稼動が難しくなった。TSMCの劉徳音董事長(会長)が「台湾の上級エンジニアを派遣する」と明らかにしたが、予定されていた5ナノの生産への支障が避けられなくなった。

業界は半導体産業の人材難がさらに深刻化するとみている。

主要国の少子化の深化、人材の半導体関連学科を忌避する現象と、相対的に低い報酬水準が原因に挙げられる。半導体産業の急成長による人材プール(採用候補となる人材のデータベース)との乖離も主な要因だ。

SIAのジョン・ニューパー会長は「半導体製造業の規模が急激に広がり、人材難が深刻化している。問題を解決できなければ、産業全体が危機に陥るだろう」と展望する。

◇中国の理工系留学生、80%が海外希望

直ちに海外投資を増やさなければならない韓国企業にも負担だ。

サムスン電子は、米テキサス州テイラー市に建設中の工場稼動に向け、人材確保に総力を傾けている。だが、サムスン電子のハン・ジンマン米州総括副社長が「必要とするエンジニアが不足している。だが、この問題を解決するのは難しい」と言及するほど、状況は深刻だ。

SKハイニックスは、人材流出を防ぐため、3四半期連続赤字にあっても、危機克服激励金を支給する。

そして、視線は中国に注がれる。

毎年数十万人を超える専攻者を輩出する中国は、世界最大の半導体人材プールだ。マサチューセッツ工科大学などの報告書によると、毎年、中国の理工系留学生の80%が海外就職を希望しているという。業界関係者は「中国の半導体人材は修士・博士級の専攻者が多く、世界レベルに引けを取らない。企業の主要な職務を十分に遂行できる」との見解を示す。

ここでネックになるのが、半導体技術のセキュリティだ。

ビジネスインテリジェンスのマネージメントを手掛ける米ストライダー・テクノロジーによると、中国がこの20年間、欧州の半導体企業から自国に移住するよう誘導し、技術を引き出した人材は3万人余りに達する。対中制裁に含まれる装備や技術が流出する恐れもあり、中国人材を確保しても、重要な職務への投入が難しい。

業界関係者は「中国はもちろん、日本や台湾、欧州など、どの国の人材でも、第3国への転職に伴う技術流出の恐れはある。最良の方法は、企業が自ら人材を訓練し、現場に投入できる有能な人材を数多く養成することだ」と強調する。

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